346.年末の晩餐①
ふにふに。ぽふぽふ。
ルルがテーブルに身体を擦り付けている間に、食前のドリンクがやってくる。
炭酸しゅわしゅわなレモネードだ。
細めのデザイングラスに泡が際立っている。
このグラスのガラスにもごく小さな貝殻と他のガラスの破片が組み込まれており、目でも楽しめる。
「きゅい」
テーブルから身体を起こしたルルがじっーっとグラスを見つめる。
炭酸とグラスの湾曲で顔がどどんと大きくなっているような。ちょっと面白い。
「変わったグラスだね」
「きゅきゅい」
エミリアとロダンの分にはミントが飾られていたので――多分大人仕様なのだろう。
ロダンがグラスを掲げる。
「まずは一年の終わりに」
「終わりに」
「おわりにー」
「きゅーい!」
それぞれグラスを掲げて乾杯する。
レモネードにはすり潰したレモンとオレンジが含まれていた。
想像以上に濃厚な柑橘類の口当たりだ。ほのかなアルコールも香る。
そこにミントの爽やかさがとても良く合う。口のなかを清涼に保つのだ。
「美味しいわね……!」
「ああ、レモネードとグラスもよく似合う」
フォードとルルもレモネードを飲んで、グラスのほうに興味津々だった。
「不思議だね〜」
「きゅーん」
レモネードを飲み切ったルルは丁寧にグラスを傾けながら、目を細めている。
その疑問が尽きないまま、お代わりのドリンクと前菜がやってきた。
生ハムとチーズのサラダだ。
野菜は最小限で……端的に言えば、とてもお酒に合いそうな濃厚サラダである。
「今日はこのほうがいいと思ってな」
「そうね……!」
フォードも肉関係は好きだし、ルルに至っては食べ過ぎるくらいだ。
もちろんエミリアもアルコールと合わせるならこういうサラダのほうがいい。
ウェイターに取り分けてもらい、ハムから口へ……。
非常に薄く、透けるくらいだ。
そこに濃い黄色のチーズ、純白のチーズ、青みがかったチーズと3種類のチーズの粉がかけられている。
ハムをチーズごと口に運ぶと、まず驚くのは強烈なチーズの味だった。
目が覚めるほど鼻に抜ける。だが、濃くて嫌にはならない。ハムは塩気がやや強めで、上手く全体を繋ぎ止めている。
そこにラデッシュやほうれん草、ネギなど。スパイシーさが野菜をアクセントにしている。
「うーん、いいわね」
「濃くて美味しい!」
「きゅっぷい!」
ルルはすでに2口目をハムハムしていた。早い……!
でもフォードもルルも大変喜んでくれているようだ。
このサラダの器も中身が減ってくると、同じようなガラスの器だというのがわかる。
ただ、基本となる色は黒で……そこにごく小さな白い模様と天井の光が反射している。
食べ終わるにつれて美しく飽きさせない器になるのだ。
こんなハムとチーズのサラダを食べてはレモネードも進む。
エミリアは調子に乗って、ぐいぐいと飲み進めて……次の皿が来た。
「わー、なにこれ?」
「きゅー!」
パチパチと油を弾けさせながら、大きめの皿に魚の姿焼きが載っている。
真っ赤でなおかつ焼けているので、種類はわからないが。
(ん? やけにいい匂いが――)
香ばしい唐辛子の香りと胡麻……それに赤のビジュアル!
(まさか、このコースは……!?)
「海鮮の油焼き――東洋のスパイス添えでございます」
それはとても、中華の雰囲気がした。
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