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【コミカライズ】夫に愛されなかった公爵夫人の離婚調停  作者: りょうと かえ
4-2 ふたつの因縁

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340/363

340.カワハギをさばいて

 家に帰って、支度をして。

 

「ふんふーん♪」


 ぐりぐりとお絵描きをするフォードを背に、エミリアは夕食の準備に取り掛かる。


 ルルはキッチンの『ルルスペース』にセット。


 ここは何も危険がなく、羽を広げても何にも接触せず、ジャンプ(低空飛行ではある)しても安全である。


 ルル専用スペースだ。


「よし……カワハギよ!」

「きゅい……」

「……ルル?」


 ルルが眠そうな目をしている。

 帰宅途中の揺れと夕闇でねむねむモードに入ってしまったのだ。


「ちょっ、ルルが頼りなのよ!」

「ふきゅう」


 マズい。反応が鈍い。

 

 だが、このような時の対処法もエミリアは心得ている。


 エミリアはカワハギの尾を持って、ゆらゆらとルルの前で揺らした。


「ほら、お魚よ〜」

「きゅっ!?」


 魚の匂いでルルの目がぱちーんと開いた。

 そしてひょいとカワハギに向かってくちばしを伸ばしてくる。


 それを絶妙なタイミングでエミリアが阻止する。


 ふにっとね。

 前進するルルのお腹を、エミリアの手が制した。

 

 ……よし。起きた。


「生は駄目よ」

「きゅい」

「2匹しかないのだから、ちゃんと調理しないと。そのほうが美味しく食べられるわ」

「きゅっ……!」


 それもそう、とルルが頷く。


「で、どうやって解体するか……」

「きゅきゅい」


 ルルが羽でカワハギの目の後ろを指し示す。


「きゅー、きゅい」

「目の後ろから気合を入れて、背骨を断つのね」


 きゅっとルルが羽を上下させる。

 思い切りが大事らしい。


 エミリアが包丁をセットし、ぐっと力を入れて背骨を断ち切る。


「きゅい、きゅっ」


 ルルがカワハギを持つ仕草をして、左右に割るよう指示する。


 エミリアはそれに従い、目の後ろからふたつに分ける……すると黄色いぷりっとした肝がもう出てきた。


「こ、こうやるのね」

「きゅー! きゅっ、きゅい!」


 ルルが喜びながら、肝の下にある黒の玉に気をつけろと呼びかけてくる。


 カワハギの内臓の中に小さな黒の玉があった。


「あっ、苦玉ね。ありがとう、これは潰さないように避けないと」


 魚の解体経験はそれなりにあるエミリアは苦玉を取り外す。


 肝には血管が走っている。


(ここからは一般的な処置で大丈夫よね)


 指で肝の血を押し出す。あとは氷水に漬けてっと。


「きゅきゅい」

「皮はお好みで……うーん、剥いで三枚おろしにしましょうか」


 びーっと端から上手く皮を剥がして、三枚におろす。


 さほど大きくない魚なので、ここからは楽だ。


 身からは血合い骨と腹骨を取り除く。


「きゅー」

「薄皮は少し残ってもいい? ふむふむ……」


 カワハギは皮も美味いとは聞いたことがある。だからなのだろう。


 アラは霜降りにすれば使い回せるらしく、別にとっておく。


 もう1匹のカワハギも同様に解体して、肝と身をそばにおく。


「うーん、ふぅ〜……!」

「きゅーっ!」


 ルルが羽をぽにぽに鳴らす。

 一仕事やり終えた気分だ。


 さばいたことのない魚をさばくのは、なぜ達成感があるのだろうか。


「きゅっ!」

「薄造りでもイケる……そうね」


 まぁ、少しくらいはいいか。

 夕食前なので少しだけ、エミリアはカワハギの身を薄く切る。


 その破片をルルへとすすっと差し出す。


「きゅっ!」


 やっったーー!

 という歓喜の声を上げて、ルルがカワハギの身をくちばしへと放り込んだ。

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― 新着の感想 ―
エミリアさん、ルルときちんと会話してますよね?普通に。 それとも食べ物関係(料理含む)限定……か?
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