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【コミカライズ】夫に愛されなかった公爵夫人の離婚調停  作者: りょうと かえ
4-2 ふたつの因縁

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327.決着

 熾烈な魔力の応酬。

 魂にしても目にしても見てから反応するのでは、このレベルでは遅すぎる。

 

(相手の魔力のわずかな揺らぎから、行動を察知して封じ込める――)


 静の感知を張り巡らせ、ひとつの攻撃動作も取りこぼさず捕捉。


 動の魔力を発露して、一瞬たりとも間違えずに絶えず相手を迎撃する。


 相反するふたつの技能。


 それが神速の攻防として現れていた。


 エミリアも解き放った闇の魔力を空中で鋭利に硬質化させる。


 ロダンのそれが(ひょう)が降り注ぐものだとすれば、エミリアは漆黒の針であった。


(……数はロダンに劣ってしまうわね)


 ロダンは空中で魔力を制御するのが上手い。


 雪と氷のイメージで自らの魔力を鍛えているからか。


 同じ魔力を注ぎ込んでもエミリアにはそこまでの速さ、数は用意できない。


 なので……エミリアは質を重視した。

 雹ほど多数ではなくても、針の鋭さで圧倒できればいい。


 漆黒の針がロダンの氷と雪の魔力を貫通する。


「ほう……」


 ロダンはさらに一手、打ってきた。


 氷の魔力が漆黒の針にまとわりつき、凝固させる。


 凍らせる――これもまたロダンだからこそできる魔力のイメージ、拡張であった。


 超高度な魔力のやり取りをテリーは啞然と見ていた。


(なんちゅー魔力の応酬だよ……。俺なんて感覚で追いかけるだけでもツライのに)


 輪になっている学生より、騎士団員のほうがエミリアたちに近い。


 まばたきの間にフェイントが挟まり、硬質化や攻守が目まぐるしく入れ替わる。


(俺がふたりいたとしても、この戦いに入れるか……?)


 テリーも優れた素質と努力で今の騎士の地位を手に入れていた。


 幼い頃から優秀な魔術師になると言われ、鍛錬を重ねて……他の騎士団なら騎士団長の位も狙えると思っている。


 それでもまだ、このふたりの域には遥かに遠い。


(団長と同じ到達点――)


 ロダンは生い立ちを自ら語る人間ではないが、騎士団員の多くはカーリック家の事情をそれとなく知っている。


 貴族界で珍しくない上、さほど隠されていたわけではなかったからだ。


 だから、騎士団の部下は理解している。


 イセルナーレ最高の血統と環境、才能をもってなお、ロダンが恐ろしい執念を捧げて研鑽を続けていることの意味を。


 だからこそ信じられない。


 ウォリス生まれの貴族とはいえ、ロダンと互角に渡り合える魔術師がいるとは……。


 試し合いが果てしなく長く感じられる。輪の誰にとっても――と、ふたりの魔力が一瞬で途切れた。


 ふいの終わりと凪。


 突然に魔力の波が消え去り、静寂が訪れる。


 エミリアがふぅ……と息を吐く。


「時間切れね」

「ああ、決着はつかなかったな」


 そこで観衆はようやく察した。


 お互いにぴったしの呼吸で20秒の経過を察知し、魔力を止めたのだ。


 学生たちは静まり返っている。


「すご……かったな」

「ああ、こんな戦いが見られるなんて」

「ウチの先生、強かったんだな……」


 本当の高みに接すると興奮よりも畏敬の念を抱く。

 学生たちの思いもそうだった。


 ロダンがゆっくりと学生たちに話しかける。


「諸君、これが極みというものだ。才能だけではない――圧倒的な修練、努力の賜物。君たちも努力を怠らず、常に高みを目指してもらいたい」


 そしてロダンは手を合わせ、軽く拍手をし始めた。


「デモンストレーションに参加してくれたセリド講師に拍手を」


 こうしてエミリアは見送られ、闘いの場から人の輪へと戻っていったのであった。


 その日から1年生だけでなく、さらに多くの人に――エミリアは知られるようになった。


 エミリアは輪に戻って、わずかに首を傾げる。


 学生たちの視線が、ウォリスの貴族学院にいた頃によく見たものに似てきているのだ。


(まさかここの人たちも私のことを『黒の魔女』とか『魔王』とか『闇の魔術師』とか言わないわよね……?)

上級生からも売られた喧嘩は買う!

それがエミリア……!


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― 新着の感想 ―
故国での二つ名に爆笑!しかも一つじゃなくて三つ!!良い感じのバリエーションですね(笑)
やっぱりエミリアはかっこいいですね! 今回ので、エミリアの講義の受講生増えそうですね♪
高度な攻防がしっかり描写されていてとても楽しいですね。 その闇の針、その内防ごうとした魔力を侵食したりしません? 能力開発というか魔力の性質変化からの発展がウォリスでは重視されてないのか? 玄人、…
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