表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミカライズ】夫に愛されなかった公爵夫人の離婚調停  作者: りょうと かえ
4-2 ふたつの因縁

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

326/336

326.黒と白

 ガネットとの決闘では、エミリアが本気を出したのはほんの一瞬だけだった。


(――今はあの時とはちょっと違うけれど)


 自然体でいたほうが本気を出せる。


 魔力は目で見るというより、魂で見るもの。


 その場にいた全員がエミリアの闇色の魔力を知覚し、驚いていた。


 まだ抑えてはいる。

 

 しかし、背筋に氷を打ち込まれたような……冬に裸でいるような悪寒を感じずにはいられない。


 ガネットもキャレシーもエミリアの力はある程度、知っていたつもりだった。


 それでもなお、エミリアの強靭かつ圧倒的な魔力に戦慄する。


「こんなに……っ」

「しかもまだ本気じゃないな」

「……怪物ね」

「生まれ持った魔力だけで、こうはならん。どんな鍛錬をしてきたんだ」

「さぁ……でも」

「でも?」

「私たちよりはよっぽど過酷だったんでしょうね」


 学生たちの驚きと同じほど、ロダンの部下の王都守護騎士団も内心で震えていた。


 テリーが喉を静かに鳴らす。


(マ、マジかよ……! これほどだったなんて……。団長と本当に――)


 騎士団員はロダンの本気を知っている。


 そのうえでロダンが真っ当な勝負で負けることはないと思っていた。


 だが、団員全員が学生よりも遥か上のレベルだからこそ、悟っていた。


 ロダンとエミリアは限りなく近いレベルにいる。


「さすがだな」


 学生のみならず騎士団員も恐れ、衝撃を受ける。


 これこそウォリスの切り札、セリド公爵家の秘蔵っ子……。


 だが、エミリアの放つ魔力に対し、ロダンは落ち着いていた。


(懐かしいな)


 彼女の奥底と本気を知り抜いているのは、自分だけだという自負がある。


 その彼女と久し振りに力試しができるのが嬉しい。


 ロダンもエミリアと同程度にまで魔力を解き放つ。


 純白と氷。雪と死の世界。

 命なき季節の凍てついた魔力。


 身震いするほど――吹雪のように鋭く、雪結晶が身体に当たったと錯覚させるほどの魔力がエミリアへと飛ぶ。


「…………っ」


 エミリアはロダンの魔力を瞬時に捉え、黒の魔力で押し包む。


 もちろん、ロダンはただ魔力をぶつけるだけではない。


 魔力の強弱を操作し、いくつかの魔力は矢のように硬質だ。


(そこそこ本気ね)


 学生で使っている人間はいなかったが、魔力の操作は自分次第。


 ロダンは極めて細かく魔力を制御している。


 例えるなら、これまでの試し合いは布生地を持ってぶつけ合うようなものだった。


 柔らかいし、動きも丸見え。


 しかし今、ロダンがやっているのはそこに木片を混ぜて鈍器を仕込むようなこと。


 迂闊に身体で受ければ、当然のごとく軽いショックに襲われる。


 もしそれで集中が乱れれば、畳み掛けられて終わり……。


 エミリアは鋭利な魔力を瞬時に見極め、闇色の魔力で迎撃する。


(……大丈夫)


 わずか数秒の攻防でさえ、学生にとってはあまりに高度すぎた。


 エミリアも攻勢に出る。


 這い寄る暗黒の魔力がうねり、触手を伸ばした。


 地面を這って進んだ魔力は足元からロダンに迫る。


 ロダンも霜に似た魔力を顕現させ、暗黒の魔力を相殺する。


 魔力が空と地でパチパチと弾け、塵となる。


 純白と漆黒が混ざり合い、灰色の魔力の欠片が空を舞う。


 学生の中でもこれらの攻防を認識できたのは、少数だった。


 多くの学生はとんでもなく高度なやり取りに背筋を震わせる。


 エミリアはふっと頬を緩めた。

 やっぱり……闘いはこうでないと。圧倒的に勝つのも嫌いじゃないけど、それだけでは退屈する。


「やるわね」

「そちらこそ」


 ロダンもわずかに口角を上げた。


 まだふたりには余裕がある。

 全力ではない。


 恐ろしい現実だった。


 その様子をもって周囲は確信していた――このふたりはイセルナーレでも最高峰の魔術師である、と。

【お願い】

お読みいただき、ありがとうございます!!


「面白かった!」「続きが気になる!」と思ってくれた方は、

『ブックマーク』やポイントの☆☆☆☆☆を★★★★★に変えて応援していただければ、とても嬉しく思います!


皆様のブックマークと評価はモチベーションと今後の更新の励みになります!!!

何卒、よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
強敵(友)のノリになってますね。
あれ?この試合、傍から見たら魔王と勇者の激突?にしか思えんぞ。 実際は魔王がヒロインで勇者がヒーロー、しかも互いに研鑽し合う間柄。キャレシーとガネットの未来の姿かな? 玄人の試合は密度が濃いとは言う…
2人の攻防に心躍ります! 現職の優秀な騎士団員まで戦慄してしまっている時点で、果たして学生たちの疑問である「自分の教師たち(エミリア以外の教師も含む)はどのレベルにいるのか」の参考になるのか、既に怪し…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ