318.試験終了
試験が始まって、少し経過して。
エミリアは試験官らしい厳格な顔を維持しつつも、ほっと一安心した。
(とりあえず内容にクレームはないみたいね……!)
あまりにも変な設問や意味不明な試験だと、その場で学生が立ち上がってシュプレヒコールが巻き起こることもある。
実際、ウォリスの貴族学院ではそのようなことが起きたのだ――エミリアの参加する試験で。
まぁ、エミリアはどうでもよいという考えだったので、合唱には参加しなかったが。
(……でも突き上げられるのはね。査定に響くかもだし……)
試験内容はチェックされているとはいえ、絶対はない。
見落としや見逃しがゼロとは言えないからだ……。
学生たちは真剣に試験に向き合う。
その間をエミリアと補佐の試験官は見回っていた。
じわりとじわりと時間が経ち、試験時間が過ぎていく。
試験時間も後半になると、学生たちがルーン消去を始める。
その中でガネットとキャレシーは筆記問題に向き合い続けていた。
(おや……? ああ、なるほど。ガネットとキャレシーは先に終わらせたのね)
ふむふむ、やはりあのふたりは目の付け所が違うようだ。
席も隣同士だし……。
周囲の学生が漏れる魔力で苦戦する中、ふたりだけは筆記に集中している。
まぁ、これも試験のひとつだ。
周りで気の散ることがあっても、ルーンの消去ができるかどうか。
エミリアも海のざわめく港で作業をしたわけで……。
ルーンの消去はいつでもどこでも、パフォーマンスを維持できることが大切だ。
(例えば事故現場で作業しなくちゃいけない……とかね)
実際、建物の解体現場ではそのような需要があり、ギルドへも依頼がある。
フォードと離れることになる外泊案件はスルーしているのだが、工房や室内だけでは完結しない。
(この試験で集中できる人は……素養があるっていうことよね)
大人数の中でのルーン消去。配点の変更……。
イセルナーレ魔術大学では、学生の成績情報を政府が共有しているのだとか。
(成績優秀者はいきなりスカウトとか、あるのかしらね?)
そこはエミリアの範疇外ではあるが……。
ということで、特に問題なく試験は終わって、エミリアは一安心したのであった。
◆
試験が終わり、エミリアの今日の仕事は終わった。
いや、正確には採点作業があるのだが……その締め切りには余裕がある。
今日、急いでやる必要はない。
ルールーも予定がないということで、エミリアは彼女と一緒にランチを食べることにした。
もちろんランチはガンツに教えてもらった出前である。
頼んであったフォッカチオとドリンクが時間通りに到着した。
フォッカチオには様々な具材入り。
それが3個……悪くない。
「ごめんなさいね、私だけ取り寄せで」
「いえいえ、私は持ってきていますので!」
ルールーが持参したランチを広げる。
こちらもチーズ、トマト、玉ねぎなどを挟んだ白パン。それが複数。
それにハムの詰め合わせだ。
講堂で向き合いながら、ふたりはランチを食す。
温度維持の箱に入ってきたので、フォッカチオはまだ温かい。
寒い12月には温かいランチが身にしみる……。
もきゅもきゅとお互いにランチを食べ始める。そこでルールーが講堂に視線を巡らせた。
「ふたりほど、素晴らしい学生がおりましたね」
「金髪の男の子と青髪の女の子?」
「はい、セリド講師にとってもやはりそうですか……」
「エミリアでいいわよ」
年齢も近いし、ルールーには親しみやすさがある。
「こほん、では私もルールーとお呼びくだされば……で、あの金髪の子がエミリアさんが決闘でボコした子ですか?」
ごふっ!
トマトの欠片が危うく気道に入りかけた。
なんと、その話まで知られていたとは……。
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