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【コミカライズ】夫に愛されなかった公爵夫人の離婚調停  作者: りょうと かえ
4-2 ふたつの因縁

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317.心のままに、ガネットとキャレシー

「さて、と……」


 ガネットはおもむろにキャレシーの隣の席に座った。


 キャレシーがちらっと見てくるが、何も言わない。

 彼女の手元には小さな手帳があり、そこにはびっしりと書き込みがしてあった。


 どうやらお手製の復習ノートらしい。


 ガネットの友人たちも前後の席に着く。


 試験開始まで教科書を広げて、ほんの少しだけ復習する。


 とはいえ、昨夜ちゃんと頭に入れたので問題はないはず……。

 座学は好きではないガネットだが、できないわけではなかった。


 ただ、机に向かい続けるのは退屈……というだけだ。


 そうしていると、キャレシーが小さな声でガネットに声をかけてきた。


「自信ある?」

「さぁな……。あの先生のことだから、意地悪なテストでも驚かん」


 エミリアはすすーっと試験会場を回っている。

 

 気負いはないようで、試験内容に自信があるようだ……。


「そういうお前はどうなんだ?」

「筆記は問題なし。実技は――ま、大丈夫でしょ」


 彼女はいつもこうだった。

 常に余裕。準備をしている。


 ガネットはふと思い出す。


 試験前、社交会の夜のキャレシーを。


 ガネットは正直、女心というものがわからない。

 興味があるのは強さ、魔術だけ。


 まぁ、着飾る意味はわかっているが……それはライオンのたてがみのようなものだと思っていた。


 あの時のキャレシーは――間違いなく着飾っていた。


 社交会の夜から、ふたりには特段の進展がない。試験前にそんな暇が見つからなかったからだ。


「試験が終わったら――」

「うん?」

「食事にでも行くか」


 ぴたっとキャレシーの手が止まった。


 信じられないことを聞いた、とでも言うように。


 ガネットはいつもと変わらない調子だった。


「……嫌なら無理にとは言わん」

「嫌……じゃない」


 キャレシーは、息を長く吐いた。

 はーっと……。


 無自覚。鈍感。間が悪い。

 ごにょごにょと色々と思うところはあるのだが、なぜだか悪い気はしなかった。


「はい、それではそろそろ試験を開始します。筆記用具を除いて、教科書やノート、メモなどはしまってください……!」


 エミリアの掛け声が講堂に響く。

 

 ちょうどよい。

 胸が激しく動くが、気持ちの切り替えができる。


 まもなく試験が開始され、鉛筆や筆の音が聞こえる。


 大半の学生はペーパーテストから解いていく。なぜなら、そちらのほうが配点が多いからだ。


 しかしキャレシーは紙に包まれた実技用の金属棒と木の棒を取り出した。


(ふむ……まぁ、そこそこ意地悪ね)


 棒自体は大した作りではない。


 充分に集中して時間があれば問題なく、点を得られる。


 だが、キャレシーはそう考えなかった。


 隣のガネットも同じようで、がさっと紙を開けて棒を取り出している。


(……こっちからやるか)


 ルーンの消去は集中力の勝負だ。

 いかに雑念なく向き合えるか。


 恐らく、ひとりで静かな環境の中なら何の問題もない。

 ここにいる学生の多くがこの実技で高得点を得られるだろう。


 だが、時間に追われていたら?


 周囲の学生も実技に手をつけて、あちこちで魔力の揺らぎを感じ取ったら?


 その分だけ不利になる。


 何百人もいる講堂では、ルーン消去の実技は想像よりも難しい……。


(でも、なんだか――)


 今のキャレシーは不思議にも心がかき乱されながら、集中できる気がした。


 それがなぜだか、わからない。

 

 隣の単純馬鹿のせいかもしれないし、そうではないかもしれない。


 ただ、手に持った棒へと意識を滑り込ませ、ひとつひとつルーンを消す。


 あの夜、熱気に満ちた夜で踊った時のように。


 感じて、身体の魔力のままに。

 やってみればいいのだから。

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― 新着の感想 ―
「コッチの方が先にゴールインしそうな気がするのですがソコんトコどーでしょうかね?ルルさん」 「きゅ〜う……(ナゼ質問がコチラに……)?」(-◈-;)
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