316.試験と試練とぽよみ
「むしろ私こそ悪いわね。あなたの仕事を取ってしまったみたいで……」
「いえいえ! 全然、お気になさらず。私も非常勤講師として職は得ていますし、来季からは産休の方の代理で講義も担当になるので……」
ほむほむ。良かった。
エミリアのせいで無職というわけではなかったようだ。
その辺はトリスターノの配慮かもしれない。
話している間に他の補佐の教職員も来て、学生も増えてきている。
ルールーが周囲に視線を向けた。
「おっと! すみません、学生も増えてきましたし。試験の段取りを……」
「そうね、ミスなくやりましょう。よろしくね!」
ということで試験内容を説明する。
エミリアが用意した試験はペーパーテストと実技だ。
これが合わせて100点満点。
実技は木と金属の棒に刻まれたルーンを消すこと。
消すことができた範囲に応じて得点となる。
棒によってルーンは違い、難易度も異なる。が、得点は棒ひとつにつきルーンを全部消せて20点。
つまり棒2本のルーンを完璧に消せれば、40点だ。
残りの60点はペーパーテスト。これも難易度はまちまちの設問が用意されている。
(実技の得点が高いような気がするけど……)
最初は15点と10点で25点……つまり1/4の配点にするつもりだった。
参考にした去年の試験内容もそうだったからだ。
しかしトリスターノを始めとする教授会より、今年は実技の配点を40点にするよう指示があったのだ。
(去年より実技重視にせよと。そーいうことね)
年々、ルーン消去の需要は高まるばかりだ。何せ、イセルナーレ魔術ギルドでもそうなのだから。
インフラ整備、工業化。
ルーン魔術の普及の反面で、すでにあるルーンを消去する仕事も増え続けている。
刻んだルーンはいつか、消さなければならない。高度なルーンを消すには高度な消去技術が必要だ。
(まぁまぁ、どういう講義がいいかは……私には関係ないしね)
イセルナーレに来て、まだ1年も経過していない。どのようなことがいいのか、判断するのも早計だった。
とりあえずは目の前の試験だ。
ガネットも友達とともに姿を見せた。
「……面白そうな試験だな」
目の下にクマがある気がする。
まぁ、試験期間中くらいは寝不足で勉強してもらってもいい。
◆
同じ頃。
セリスとフォードは並んでうつ伏せになっていた。
ふたりの目が合う。
「これでいいの?」
「ええ、ばっちりのはずです」
なぜ並んで寝転がるのか。
そこにルルがほふく前進を試みる。
「きゅ、きゅっ!」
目標はふたりの頭部。
セリスの後方から迫ったルルがぽにぽにと進んでくる。
そして、そのまま……。
「むきゅ」
「きゅい!」
セリスの頭をルルのお腹が乗り越えてくる。
よっせよっせとルルがほふく前進を継続し、セリスの頭を下敷きに。
さらにルルはフォードの頭にまで到達して、同じように乗り越える。
「きゅー!」
「むっぎゅ……」
ルルの頭はすぐにフォードの頭も乗り越えた。
で、そこでルルが方向転換する。
今度はフォードの肩の部分から乗り越えようと、すりすりと前進していた。
よじよじ。
ルルに乗りかかられながら、フォードがセリスに問う。
「これがルルにもいいんだよね?」
「ええ……複雑な運動は身体の色々な部分を使いますからね。ルルちゃんの健康にもばっちりですよ!」
きゅっきゅっとルルがフォードの身体を乗り越える。
そのまま、うにょー&ぐいーんと身体をくねらせながらルルはセリスの身体も乗り越える……。
幸せそうなセリスを見ながら、フォードは少し考えてしまった。
(でも僕たちの身体を使う必要はないよーな……)
まぁ、気持ちいいから、いいか。
フォードは疑問に蓋をして、しばらくセリスと一緒にルルの障害物になったのであった……。
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