312.昼食話
きゅきゅい
。.:*・゜¨ ;
:゜ ˙꒳ ˙ つ 3
゜*:.。. .・:゜
パスタはたっぷりトマトに海鮮が入っていた。
剥いたエビにアサリの身。あとは刻んだバジルだ。
フォークでパスタを巻き、具材を絡めて――まずは身体をぐわんぐわん揺らすルルへ。
「きゅっー♪」
エミリアも慣れたもの。
完璧なルルの一口サイズになっている。
パスタとエビをちゅるん。
勢い良く食べ切る。
「きゅう〜〜」
もきゅもきゅ。
ルルの頬がもちもちに膨らみ、至福の表情が浮かぶ。
ガンツも嬉しそうだ。
「美味しいかや?」
「きゅい!」
とっっっても!
ルルの反応にガンツも満足気だ。
エミリアもパスタをはもっと食べる。
(イけるわね……!)
ぱちりと目が覚めるトマトの酸味。
真っ赤なトマトソースに胡椒などのスパイスは最低限。
トマトそのままの味を引き出しながら、エビと貝の旨味が深く鋭い。
恐らくはエビの殻で出汁をとって、ソースに含ませているのだろう。
そして具が多い。
パスタの下にもエビや貝の身が隠れていた。
ルルが喜ぶのも納得だ。
「とても美味しいですね」
「ここはそんなに味がキツくないからのう。あとは小麦粉よりも海鮮のほうが食べたいんじゃ」
「きゅい!」
ルルがぴっと羽を掲げる。
『具は……たくさん、欲しいよね!』と心から同意していた。
「大学食堂ではあまり食べてこなかったのですが、この配達は良いですね」
「良ければ、あとで店を紹介するぞい。教職員の利用客が増えるなら、店も喜ぶじゃろうて」
大学の食堂は味そのものは悪くないのだが、何よりも混んでいる。
安くて量が多いので、当然なのだが。
しかし昼時の牛丼チェーン店より過密なのは、かなり苦しい。
肘が当たるのは……もうちょっと専用面積に余裕をもって食べたい。
というわけでこの配達なら問題は少なそうだ。
最低限の荷物だけでいいのも良い。
「こんな時になんじゃが、ひとつだけ相談がある」
「はい……どのようなことでしょう?」
「……墓がどうなっているか、知りたいんじゃ」
パスタを食べながら、ぽつりとガンツが呟いた。
その意味をエミリアは即座に察する。
イセルナーレにある墓なら、ガンツは自由に行けるはず。
しかしウォリスはそうではない――50年、戻っていないのだから。
「すぐにとは言わぬ。遠目でも良い。ただ、一度じゃ。わしの家の墓がどうなのか……」
「お察しいたします」
「悪いのう。ふぅ……」
続けて食べるピザもなかなかの具合だった。
トマトをたっぷり、スライスしたソーセージとベーコンがたっぷり。
サイズ自体は大きくないが、どことなく具が過剰な気さえする。
店の癖なのかもしれない。
「ウォリス政府に聞いておるんじゃが、恐らく正式に許可は出んじゃろう。どうも目こぼしはあるみたいじゃがな」
「こっそり行く分にはいいと?」
「まぁ、すでに50年も前の話じゃ。わしもイセルナーレのほうがもはや遥かに長い。いまさらどうのこうもないのは、向こうもわかっておるじゃろうて」
「なるほど……」
「とはいえ、わからんがな」
ルルは味わって食べているので、食べるのは結構遅めだった。
ガンツの話は多分、2割も聞いていない。
「お墓はどちらに?」
「ドゥナガ山脈にある。セリド家の隣にあったんじゃよ、我が家は」
「そ、そうだったのですか?」
「うむ……だからまぁ、この話をしたんじゃ」
一足先に食べ終えたガンツがコップの紅茶を飲みながら、息を吐く。
「我が家が取り潰されたあと、元々の領地はセリド公爵家のものとなった。そう、わしは聞いておる」
……色々と繋がった気がする。
ガンツがエミリアに特別な関心を寄せる理由が。
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