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【コミカライズ】夫に愛されなかった公爵夫人の離婚調停  作者: りょうと かえ
4-2 ふたつの因縁

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310/328

310.ルルの役目

「どうじゃ、やってみぬか」


 目を細め、問うてくるガンツ。

 突然のことにエミリアは固まるしかなかった。


 でも、悪い話ではなかった。


 自分でも思っていたより、先生稼業は楽しい。

 エミリアはそう感じていた。


 学生に囲まれ、成長を助ける。

 

 今まで……前世でも今世でもやったことのない仕事だったが、やり甲斐がある。


 エミリアは手をぐっと握った。


「私でよろしければ」

「うむ……セリド講師はまだ若いが、すでに良いものを持っておると思う。トリスターノも、そう言っていた」


 ガンツの年齢や事情について、トリスターノは当然知っているのだろう。


「トリスターノに相談したら、少し渋られたがの」

「……ええっ?」

「おおかたルーン魔術でどこぞの専任講師にと……そんなことを考えておったのかも。しかしまぁ、わしのほうが先じゃわい」


 ガンツがカラカラと笑う。

 

 何か重いものが取れて、ひょうひょうとした風だった。


「さて、詳しい話はあとでまたするかの。そろそろ学生を入れねば」

「はい……っ!」


 そこでエミリアははっとした。


 後任教授。いずれ、もっと先の話ではあるけれど……それはそれとして。


「このルルには、どのようなお仕事が……?」

「ん? ああ、そうじゃった」


 ガンツが杖をすすーっと動かす。


 講堂の道から道へ。

 そして講壇へと。


「精霊魔術の講義なのに、精霊がいないのも。試験中適当に歩いて、あとは触らせてもらえれば……どうじゃ?」

「きゅい!」


 ルルがしゅしゅっと羽を振る。


 なるほど、ふれあいのためか……。

 そこまで大変そうな役割ではなかった。


「そうでした、王都は精霊避けの結界があるのですものね」

「うむ……地方に行けばまだしも、王都では精霊と触れ合う機会は多くないからのう」


 精霊のパワーは鉄道があるこの世界でさえ、いまだに圧倒的だ。


 巨大精霊ともなれば、列車をばしゃーんすることも、建物をどごーんすることも容易い……。


 アンドリアの精霊ビーバーのように。


「……きゅ!」


 ルルが『頑張ります!』とアピールしている。


 そのやる気は素晴らしい。


 エミリアがルルをバッグから抱えて、ふにふにと揉む。


「きゅっ、きゅー♪」

「懐いているようじゃのう。わしも少し触ってええかい?」

「ええ、もちろんです」


 そのまま渡したり、直に触ってもらったりしていいものかどうか……エミリアは無難にルルを近くの長机にセットした。


「きゅぅー」

「ふむふむ、どれどれ」


 ガンツがそーっと手を伸ばし、ルルのお腹に指を埋める。


 もふもふ、ふかふか……。


 冬毛仕様のルルはとても良い触り心地のはず……いや、それが目的ではないかもだけど。


 ガンツの撫で方が上手いようで、ルルが嬉しそうに鳴く。


「きゅー♪」

「ふぅむ……なるほど……」


 ガンツが頷き、ルルから手を離した。


「ど、どうでしたか? ペンギンの撫で心地は……」

「ペンギンを撫でたのは初めてじゃが……」


 ガンツの目的はそこにはないようだった。


「イセルナーレの他の精霊やダイトの連れていた精霊とは、何かが違う気がしたのじゃがの」


 ガンツが首をひねると、扉から学生たちが入ってきた。

 どうやら時間のようだ。


 エミリアには特段、ルルが変わっているようには感じないのだが……。


 しかし、人懐っこさは相当なものかもしれない。


 だけどそういうことでもないのかも?


 ガンツがルルの頭をぽふぽふと撫でる。


「試験の補佐を頼むぞい、セリド講師」

「は、はい……!」

「きゅー!」


 こうしてルルも精霊魔術の試験に参加することになった。


 ぽにぽに歩き回り、撫でられ……。

 愛でられるだけともいうが、これも大切なことである。

 

学生たち『なぜペンギンが……?』

ルル「きゅい!」(胸を張りながら試験会場を練り歩くルル)



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― 新着の感想 ―
試験はイヤです!イヤですが……ルルちゃん撫でられるなら参加だけでもしたいです!!ダメ?
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