表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミカライズ】夫に愛されなかった公爵夫人の離婚調停  作者: りょうと かえ
4-2 ふたつの因縁

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

281/285

281.過去9

「……母上は知っておられたと?」


 思いがけないコルドゥラの言葉に、ロダンは驚いた。


 もちろんロダンがコルドゥラの出した条件を知ったのは、かなり後になってからだ。


「ええ、彼はとても優秀だったわね。平民出身でありながら、海軍将校として……妹も同じく」


 しかし、どうして?

 ロダンは違和感を覚えた。


 墓掘り人はイセルナーレの中でも暗部の中の暗部だったはず。


 いくら非公式の接触とはいえ、コルドゥラが把握できるようなものだろうか。


 余人には察せないロダンの心中を、コルドゥラは微笑みながら見抜いた。


「ロダン、やはりあなたは賢いわね」

「やはり納得しかねます」

「でしょうね。私も聞かされた時は驚いたわ」

「……誰から聞かされたのです?」

「決まっているじゃない。あの人よ。エイドル――先代カーリック伯爵」


 ロダンの父、エイドル・カーリック。


 その名前を聞くのは久し振りだった。


 この屋敷でも外でも、彼は先代と呼ばれることがほとんどだからだ。


 そしてもちろん、コルドゥラもエイドルと名前で呼ぶことは稀だ。

 あの人、と呼ぶのだから。


「馬鹿な……」


 言われてみれば驚くことではないのかもしれない。


 エイドルは先代王都守護騎士団の団長。王家よりも古いカーリック家の当主だった。


 しかし、ロダンには衝撃だった。


 てっきり父は何も知らないと――ロダンはそう思い込んでいた。


「父は……なぜ?」

「そこまでは知らないわ。でもカーリック家なら知っていてもおかしくないかも」


 もうひとりのキーマンはシャレスだ。


 もしかしたら父はシャレスと協調していたのだろうか。


「シャレス殿と繋がっていた可能性は?」

「その可能性はあるかもしれないわ。ただ、詳しいことは本当に知らない……私が聞いたのも、結局は後になってからだったから」


 ロダンの教育が終わると、エイドルはさっさと当主の座をロダンに譲って隠居生活に入ってしまった。


 今は……イセルナーレの東の療養地にいるはず。

 そこに小さな別荘を買って、引きこもったのだ。彼からはたまに手紙が届く。


 手紙の内容は能天気で当たり障りないものばかり。


 しっかり仕事をしろ、適度に休め、部下と仲良くしろ……などなど。


 エイドル自身は奇妙なほど東の療養地から動かず、たまに釣りの話などが来るだけだが……。


 あえて目を背けていたことにロダンは切り込む。


「今、父は何をしておられるのです?」


 ロダンはエイドルもコルドゥラも好きではなかった。


 子どもが欲しく、年下のマルテを丸め込んだエイドル。


 貴族の体面を重んじて、マルテを受け入れなかったコルドゥラ。


 確かにそれぞれの事情はあるのだろう。イセルナーレの大半の人間はエイドルとコルドゥラに理解を示すのだろう。


 だが、ロダンは認めたくなかった。


 エイドルはカーリック家を利用してマルテに近付き、ロダンを産んだ彼女を切り捨てた。


 ご丁寧に魔力がわかる3歳になるまで、マルテの手元でロダンを育てさせておきながら。


(――浅ましい)


 そしてコルドゥラもまた、決して認めないだろうが報復としてエイドルとマルテとロダンを切り離した。


 コルドゥラはエイドルを許さなかった。ロダンの教育には協力したが、ロダンを選んだ時点でふたりの夫婦仲は完全に冷え込んだのだ。


 そしてエイドルはロダンが育つや否や、全てをロダンへ押し付けて王都を去った。

 そのようにロダンは認識していた。


「私にはあの人が理解できないわ。でも、多分……ロダン、あなたも今なら少しは見当がつくんじゃないかしら」

「父上は――じゃあ、東の別荘にいないのですね」


 コルドゥラはほんの少しだけ頷いた。


「あの人は追っている。ええ、今も生きていれば。エイドルはモーガンの遺産を追うために、今までの全てを捨ててしまった」

私が原作を手がけました『断罪される公爵令嬢、生まれ変わってラスボスの王妃様の子どもになります』のコミカライズが開始されました!


↓より試し読みができますー! 

https://palcy.jp/comics/2452


あるいは↓の画像リンクからも飛べますので、ぜひともよろしくお願いいたしますー!!



10月初めに書籍が2冊刊行されます!


↓『断罪される公爵令嬢、生まれ変わってラスボスの王妃様の子どもになります』

https://amzn.asia/d/hNtESAd


↓『愛する祖国の皆様、私のことは忘れてくださって結構です~捨てられた公爵令嬢の手記から始まる、残された者たちの末路~』

https://amzn.asia/d/hjmYpnW


↓の画像からも販売サイトへ飛べます!!

どうぞよろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ