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【コミカライズ】夫に愛されなかった公爵夫人の離婚調停  作者: りょうと かえ
4-1 宵闇に踊る

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240.キャレシーの想い③

 化粧をして、ドレスを着ると気分が変わる。外見の変化は心まで変える――わかってはいるが、キャレシーには苦手な分野だ。


「あとはまぁ、少しずつレッスンしましょうね。夜会は数時間、その間にどう振る舞うかを覚えるだけだから」


 そのどう振る舞うか、というのが最大の不安なのだけれど。

 キャレシーは率直に不安を吐露する。


「……できるかな?」

「あのペーパーナイフの課題よりは遥かに簡単だと思うけれど」


 エミリアが何を言うんだ、という雰囲気を醸し出す。


「マナーなんて暗記よ? あなたが出来ないはずないわ」

「そうかなぁ……」

「……不安?」


 エミリアに重ねて聞かれ、そっと頷く。


 いつもは虚勢を張るのだが、今回は無理だ。とても張れない。


「姉さんにも頼れないし」

「じゃあ、ガネットに特訓を頼むという手も……」

「はぁ!? えっ……」

「暗記は反復でもあるわ。不安なところは彼と一緒に精度を高めていくとか……」


 正論ではある。

 ガネットなら多分、礼儀作法も知っているだろう(必要だと思わなければ実践しない男だが)


 しかし少し腑に落ちない。

 なんだか誘導されている気がする。


「なんで、あいつなんです?」

「……彼とならお互いに遠慮なくできるでしょう?」


 エミリアがふふりと微笑む。


 キャレシーは楽しそうなエミリアに内心、舌打ちした。

 どういう意味で言っているのか。


 だが、エミリアの見立ては正しい。

 ガネットなら前々からの関係で言い合えるのは間違いない。


 何か特訓でしくじれば、ガネットは絶対指摘するだろう。


 他の同級生は……キャレシーにそこまで言ってくれない可能性が高い。

 勉強の効果としては、薄いかも。


 にしても――。


「他意はないんだよね?」

「ないない。これっぽちもない」


 本当かなとキャレシーは背にいるエミリアの気配を探る。


「……わかった。まぁ、考える」

「そうね、それがいいわ」


 キャレシーのドレスの試着が終わり、代金を聞く。価格は30万ナーレ(日本円にして60万円)だというが、これが妥当なのだろうか。


 エミリアはふんふんと頷いており、適切な価格のようではあるが。


(服でこんなに……本当に別世界)


 今回に必要な諸々のお金は親戚から集めて賄う。

 キャレシーには決して安くはない。

 やれやれ……。


 キャレシーが元の学生服に着替えると、エミリアはレティシアと話し込んでいた。


「で、ルルのケープはどうかしら?」

「今までにない加工ですが、それゆえに職人もやる気になっています。近々、きちんとした試作が出来上がるかと」

「……ルル? あのペンギン?」


 キャレシーが目を細める。


 エミリアのペンギン、ルルはガネットとの決闘で鮮烈に大学デビューを果たしていた。

 もちろんキャレシーも忘れるわけはない。


(あのふわきゅい生物が……この店で?)


 この店はどう考えても高位貴族様の御用達。ペンギン用の服を仕立てる店には見えないが。


「ええ、あの子も夜会に出るの」

「…………そう」


 本当に貴族の世界はわからない。

 だが、きっと厳粛なルールがあるのだろう。


 そう思うことにした。


 エミリアが顎に手を当てて、頷く。


「そうそう、あの子は哺乳類に準じた扱いになるから。他にも似たような子がいる可能性はあるから、マナー本の哺乳類の項目は全部覚えておいたほうがいいわ。あそこが基準になるみたいだから」

「ふぅん……わかった」


 頭痛が痛い。

 まさに今のような状況のことだ。


 エミリアのよくわからない教えを聞きながら、キャレシーは店を出た。


(ガネットに助けてもらおう) 


 そんな決意を心に固めながら。

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「ふわきゅい生物」いい
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