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【コミカライズ】夫に愛されなかった公爵夫人の離婚調停  作者: りょうと かえ
1-3 向き合う時

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17.新生活と屋敷

 レストランに到着したふたりは一緒にロブスターを食べた。

 茹でたロブスターをシンプルにバター&チーズで。


 ついでにエミリアはでっかいカニも頼んで、ふたりで食べてしまった。


(だって、思ったよりも安かったし……)


 まぁ、フォードもカニには大喜びだった。

 カニの脚はフォードの顔くらい大きく、それを興奮しながらほじって食べてくれたのだから。


「んー! カニってこんなにおいしいんだねっ!」

「海が近いと味が濃くて大きいのよ」

「僕、コレも好きっ!」


 フォードが指差したのはセットのカニ味噌甲羅焼きだった。

 ……4歳児が? でも、フォードはこれが気に入ったようだ。


「なんか、色々な味があっておいしい~」


 思えばウォリスの料理は野菜が多く、味がきつくて苦い。

 なのでフォードも苦みには耐性ができたのかも……。


(でも好き嫌いがなくて、イセルナーレの特産を気に入ってくれているなら言うことないか)


 ロブスター、カニ、それとサイドメニューをいくつか頼み、ふたり合わせてお会計は2000ナーレ。日本円に換算して4000円ほどだ。

 安い、海が近いからだろうか。


 その代わり肉やチーズ、野菜はウォリスよりも少し高い。

 これもきっと海に近いからだろう。

 潮風のせいで王都周辺は農地や牧場に向かないのだ。





 昼食を食べ終わったエミリアはフォードを連れ、銀行に向かう。

 目指すはイセルナーレ最大手のイセル・ピエタ銀行だ。


(……大丈夫だよね?)


 修道士の設立したイセル・ピエタ銀行の建物は小宮殿そのもの。

 今から400年前に創業したらしい。


 エミリアはドキドキしながら窓口へと進んだが、手続きは想像以上にスムーズだった。


「口座開設のお手続き、ありがとうございます。しかと承りました」

「……あの、どのくらいで口座は利用可能になりますでしょうか?」

「はい、イセルナーレ魔術ギルドの方であれば審査はすぐ終わりますので……明日の午後からご利用頂けるようになります」


 ということで、エミリアは安堵の息を吐く。


(おお、本当にすぐ終わった……! ありがとう、フローラさん!)


 それからの数日はあっという間に過ぎ去った。

 まずお金を銀行に預け、住居を探して回る。当然、家具もだ。

 それにフローラに渡された様々な書類も頭に叩き込み、ファイリングを……。


 あとはイセルナーレの法律集、生活習慣の本なども買い込む。

 この国で本格的に暮らすなら学ぶことは必須だ。





 そうして住む場所も仮に決めたエミリアは、約束の日にロダンの屋敷へと向かった。

 ここ数日の順調さのおかげで、エミリアの心は穏やかだ。


 今日はもちろん、フォードも一緒である。

 ロダンの屋敷なら見てくれる人はいるだろうし……。


 朝から丘の上へと歩いていく。

 日差しは強く、舗装された道を容赦なく熱していた。


 丘の上の貴族街はその名の通り、立派な邸宅ばかりの区画だ。

 この密集度合いはウォリスではあまりない。


 しかし、最大の違いは家の装飾だろうか。

 イセルナーレは全てにおいて色鮮やか、鮮烈に飾り立てる。


 それは貴族街の邸宅も例外ではない。

 屋根の色が真紅、瑠璃、翡翠のような色なのは当たり前だ。


「丘の上のおうちも綺麗だねっ!」

「フォードは派手なおうちのほうが好き?」

「うん! だって見ていて飽きないもの!」


 フォードの意見を聞いて、エミリアが頭の中の物件リストを更新する。

 

 貴族街は衛兵も多く、身なりも市街地や商業区とは違う。

 とはいえ、エミリアも公爵令嬢だった身だ。


 気後れすることなくロダンの屋敷へと到着する。


(でっっか……!)


 ロダンの屋敷は門の外から見ただけで、他の屋敷の2倍は大きい。

 屋敷は全体的に目の覚めるような白であり、門も柵も立派だ。


 だが、屋敷と門に比べて庭は簡素で味気ない。

 

(ま、ロダンが庭園作業を好むわけもないか)


 ロダンは決してお洒落をしないわけではない。むしろセンスは抜群にいい。

 だが、社会的に必要でないところで美的センスを使おうとしないタイプだ。

 この庭にはロダンの人柄がよく出ていた。


(そういうところは変わらないなぁ……)


 屋敷の執事に話は通っており、エミリアとフォードは奥へと案内される。

 ロダンの屋敷内は質実剛健、中も白でまとめられていた。


 そしてふたりが案内されたのは数十人が入れる広間である。


(……あれ? 普通は応接間や貴賓室だよね?)


 なぜ広間へと案内されたのだろう。

 ちょっと疑問に思ったが、それはすぐに氷解した。


「3日振りだな。問題はなかったか?」


 挨拶するロダンのそばには、山のように書類が積み重なっていたのだから。

 多分、あれが全てエミリアの離婚協議に関係する書類なのだろう。

【お願い】

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