八話面会人
ドロイト邸。
「ロイド様!戦争の情報が入りました!」
アンナが報告してくれた。
よし売ろう!これで…一攫千金だ。
スーディー邸。
「ドロイト家が売っているな…では売るぞ!」
周り貴族も呼応する様に売り始める。
スーディーはドロイト家の作戦を知っており、たくさんの貴族に協力を仰いでいたのだった。
スーディー邸。面会人と話すとき。
「はっはっは。愉快じゃ愉快。警察も送り込んでやったわ。裏と通じていていいこともあるんだな」
ラン•スーディーは庭の散歩をしながら笑っていた。
「ラン様。賭け事はほどほどにしてください」
執事が言った。
だがランは笑いながら答える。
「全て勝っているから良いのだ」
「全く。ですが…あのドロイト家です。確実に仕返しをしてきます。あの時の様に…」
「ふん!あんな奴らと一緒にしないで」
こんなことを言ってはいるが、ランは不安であった。
「面会室へ行くか」
クリド・フレーバーは軍曹の父と、狙撃手である母の間に生まれた。
両親が兵士であるため、クリドも兵士の訓練を幼い頃からさせられていた。
彼には青春も、友情も、両親からの愛情も、味わうことはなかった。
辛い毎日。
彼の中に秘められていた兵士の才能だけが、彼が生きる意味となったのだった。
毎日運動をして、早起きをして、命の危機にさらされて、子供と馬鹿にされ、体罰を与えられ…
クリドが望むのは、普通の毎日であった。
ある日、クリドはすさまじい活躍をしたが、ついに敵国に捕まってしまった。だが、どんな拷問を受けても彼は何も言わなかった。
彼は死ぬことによってこの地獄のような人生。犯罪まみれの地獄のようなこの世界から逃げたかったのだ。
敵国はクリドに身代金をかけ、我が国に金を叩きつけた。
だが、金を国は払わなかった。兵士を使い捨てのコマであると思っていたから。
おまけに国はクリドに対する親の行動や、軍の内部の暴力などは犯罪であることを知っていた。
だからクリドが死ねば、全てが闇に葬れるのだ。
だが、その身代金を払った。貴族がいた。
それは…ドロイト家であった…
面会室でランは話している。
「で、あんたは確認だがなんの様なんだ?クリド君」
「はい。もともと私はトーマス・ドロイトについていましたが、今のロイド・ドロイトには呆れております。ゆえに私はスーディー家に着くことにいたしました」
「今ロイドは何をしようとしている?」
「戦争の勝敗により変動する株価を利用し、儲けようとしております。そのためこの情報をひろめ、ドロイト家と同じ売り買いをすればドロイト家は負債で自動的に破産すると考えられます。」
「了解した。ドロイト…滅びるが良い」