三話やってやるよ!
ギャンブル当日、バーへ俺たちは車で向かった。
到着した俺たちは送ってくれた運転手にお礼を言い、アンナ、オーランの三人でバーに入った。
そこは8つ机があり、1人用の席も10席くらいある。
作戦はこうだ。
1,まずイカサマがないようオーランにシャッフルさせる
2,賭けが始まったらオーランは偽の情報をモールス信号で伝える
3,モールス信号がわかっているアンナが一部始終監視する
他のことは後でたっぷりと聞くことにしよう。後仕込みはしない。ずっと強いのを出し続けるのは絶対に怪しまれる。
1番近くの席を見てみるとランの野郎が待ってましたといわんばかりにこちらを見ていた。
俺はランに向き合う椅子に座りながら尋ねる。
「なんだ?待ってたのか?」
「あら?知らないの?結構噂になってたわよ。負け犬が挑んできたって」
正確悪そうな顔をしながらお嬢様は言った。
ほーん。言ってくれるじゃないか。
「さて、始めるとするか」
早速オーランはシャッフルを始める。
トランプが配り終わるとオーランはペンをカチカチし、モールス信号を送る。
イ・チ・ク・ラ・ブ・ナ・ナ・ス・ペ・ー・ド
アンナによるとそういう意味らしい。
俺の手札はジャックのダイヤとハート。何一つ合ってない。
だが何か変だう。勝っている感覚がない。
するとランは言った。
「2?いや3億かけるわ」
「相変わらずだな。じゃあ俺は1000万くらいかな」
「あら。珍しいわね。それじゃあ配ってちょうだい」
オーランは5枚、それぞれの目の前に表向きに配った。
よし!揃った!
「OKかしら?」
俺は叫ぶ。
「俺の勝ちだ!フルハウス!」
「あら」
「よし!」
「すごいけど、運悪かったわね。私はフォーカード。10万よ・ろ・し・く・ね♡」
な…に…
負けた…
…なんでだ…!なんでだ!
「畜生!もう一回だ…
「ダメです!ロイド様!」
アンナの大声で俺は正気を取り戻す。
「これ以上は危険です!帰りましょう!」
俺はへんじもせず、アンナと共に店を出た。
あの後オーランがどうなったかは知らない。
気付くともう朝だった。ベッドに寝かせられている。枕がびしょびしょだ。一晩中泣いていたんだろう。
しばらくするとアンナが申し訳なさそうな顔で、ドアを開けて入ってきた。
「昨日はすみませんでした。取り乱してしまって…」
「いや謝るのはこちらの方だ。惨めなところを見せてすまなかった」
俺は頭を下げる。
「あの、ロイド様にはスーディー家を潰そうとする余力は…残っていますか?」
「というと?」
アンナは険しい顔になる。
「実は5枚づつ配る時、山札の1番後ろに8のハートがあることに気づいたんです」
…!
「そうです。あの人のフォーカードは4のハートと…8のダイヤ、クラブ、スペード、そしてハート。完全なるイカサマです」
「で、あのトランプはオーランのもの、つまり別のカードを入れて、ランがフォーカードになるよう仕向けたと…」
「そういうことです」
険しい顔をしながらアンナは近づいて来る。
そして俺の手を持って言った。
「どうしますか?」
「やってやるよ!」
そういい終わると同時にマークも寝室に入ってきた。
「話は終わったか?」
「ああ」
「こっちからの情報だ。スーディー家は毎回ポーカーを連戦連勝。賭け金もあまり変わっていないことが発覚した。まだ勝機はある」
ありがとう
それしかいえなかった。