エピローグ
同時投稿2話目です。
俺が最終奥義を放った後。
あちらの世界に連絡を取ってみると、無事に魔獣と邪神の討伐に成功したと伝えられた。
その際、ガルフェン王を含む数名が消滅の光に呑み込まれたとのことだった。
結局、どれだけの痛みを受けても改心することはなかったのだろう。
思うところがないわけではないが……ガルフェン王があのまま国を統治すれば、より多くの人が犠牲になる羽目になった。
そう考えたら、これでよかったのかもしれない。
それから、今後の方針として。
フロンディア王国の国王として新たに即位したのは、第二王子のユリウス。
ユリウスとは向こうの世界にいた時に交流があり、王子と勇者という間柄とはいえ、それなりに仲が良かったと言えるだろう。
ユリウスからはこちらの世界に戻ってくる気はないかと言われたが、俺は首を振った。
こっちで大切な人を見つけたからと説明すると、納得したように頷いていた。
さらに話し合いをした結果、これからは俺が定期的に神聖力をあちらの世界に送ることになった。
最終奥義ほど大規模なものではないが、これで魔獣の発生は食い止められるはずだ。
お互いに新しい生活が落ち着いたら、世界間で様々な交流ができたらいいという話にもなった。
消費魔力を抑えて世界間を転移できるよう、色々と改良を加えておくことにしよう。
とまあ、そんなどうでもいい後日譚はおいておいて。
俺の心臓は今、激しく鼓動を刻んでいた。
「アルスくん、緊張しているんですか?」
「……だな。まさか好きな人の父親に会いに行くのが、こんなに緊張するとは思っていなかった」
俺はこれから、紫音と一緒に一ノ瀬の本家へ挨拶に行く。
そこで紫音と結婚したい旨を、彼女の父親に伝えるのだ。
先に本家に戻っていた千代からは「旦那様は、アルス様が来られると聞いてからお嬢様の昔のアルバムを見返しています。色々と大変でしょうが応援してます!」と言われた。
なんか楽しそうだったな、アイツ。
まあそれはともかくとして。
実際はどうなることやら。
小さくない不安を抱いていると、紫音は笑う。
「大丈夫ですよ、アルスくん。お父様は厳しい人ですが、理不尽な方ではありません。しっかりとわたくしたちの気持ちを伝えれば理解してもらえるはずです」
「そうか。紫音がそう言うのなら信じるよ!」
「はい! 信じてください!」
紫音の満面の笑みを見ると、あっという間に不安が消えていく。
ああ、俺はこの女の子が大好きだ。
そう思った。
だから。
「紫音」
「はい、なんですか――んっ」
彼女にそっと口付けをかわす。
最初は紫音も驚いた表情を浮かべたが、すぐに幸せそうな笑みを浮かべた。
「もう、アルスくん。いきなりだと驚いてしまいますよっ!」
「悪かった。紫音が可愛かったからつい」
「……もう。アルスくんのばか」
そう言って、紫音は俺の腕に抱き着いてくる。
そして俺たちは二人でゆっくりと歩きだした。
新しい幸せな未来に向けて。
FIN.
あとがき
これにて本作は完結となります。
今はやりの追放ものを世界規模で書けばどうなるのか、そんな実験から書き始めたものが本作になります。
10話程度で終わらせるつもりが、アルスや紫音に愛着がわいた結果、ここまで書き進めることができました。
一応ここで完結ということにしますが、もしかしたら気分が乗った時に続きを書くかもしれません。
その時はまたよろしくお願いいたします。
最後に一つお願いです。
本作を読んで少しでも、面白かった、完結おめでとう、二人ともお幸せに! と思っていただけたなら、評価の方をしてもらえると嬉しいです。
評価は画面下の「☆☆☆☆☆」をワンタップ(ワンクリック)するだけで可能です。
どうぞよろしくお願いいたします!
それから本作が終わった後、他のどの作品を読もうか悩んでいる方に向けて。
『世界最速のレベルアップ ~無能スキル【ダンジョン内転移】が覚醒した結果、俺だけダンジョンのルールに縛られず最強になった~』
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同作者が連載中の、四半期総合1位獲得作品です(現在年間総合2位)。
現在、第三章がクライマックスを迎えたところで最高に盛り上がっています(感想やレビューを見ていただければ盛り上がりぶりが分かるかと)。
皆様にも必ず楽しんでいただける作品になっていますので、ぜひご一読ください!
下のリンクからもいけます!
それでは改めまして。
最後まで本作を読み進めていただき、誠にありがとうございました!