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23 最後の策【ガルフェン視点】

 フロンディア王国、王城。

 そこでは国王ガルフェンが、焦燥の表情を浮かべていた。



「陛下、魔獣によって次々と拠点が落とされています!」

「難民が王都に助けを求めてきていますが、これ以上中に入れる余裕はありません!」

「各地の領主や周辺諸国からは、新たな勇者を探すべきではないかとの声も上がっています! どうかご判断を!」



 家臣たちもまた、決死の様子でガルフェンに物申していた。

 彼らの言葉を聞き、ガルフェンは歯ぎしりする。


 魔獣による被害が拡大して以降、ガルフェンは戦力を王都に集め防衛作戦を行った。

 これにて王都は一時的に平穏を手にしたが、辺境の地にある町や村は魔獣の被害に遭っていた。

 各地の領主がお抱えの騎士を運用して最悪の事態を食い止めているようだがそれも時間の問題。


 似たようなことが、各国でも起きている。

 一刻も早い状況改善が求められていた。


 実を言うと、ガルフェンには一つだけそれを可能とする策があった。

 それは各地の領主や周辺諸国が告げるように、新たな勇者を任命すること。


 だが、それをやってしまうと、勇者が死んだと思い込んでいる国民はともかく、ガルフェンが勇者を異世界に追放したと知っている者たちからは、問題解決後、様々な形で賠償を求められるだろう。

 勇者の異世界追放には彼らも賛成していたが、そんなことは関係ない。

 全ての責任をガルフェンに押し付けようとして来るはずだ。


「しかし、こうなってしまったからにはやむを得ん」


 このままでは全員が滅ぶのみ。

 であるならば、ここは恥を承知で新たな勇者を探し出す。

 そして全てが片付いたあと、その勇者を使って周辺諸国をけん制してやればいい。

 ガルフェンはそう判断した。


「宝物庫から聖剣を持ってこい! 新たなる勇者を探す!」

「はっ!」


 一人の臣下が顔を輝かせて宝物庫に向かう。

 ひとまず、これで今後の方針を立てることができるだろう。

 そう安堵するガルフェン。

 しかし数分後、玉座の間に戻ってきた臣下の手には聖剣がなく、表情は戸惑いと焦燥に満ちていた。



「何をしている! 聖剣を持って来いと命令したのが理解できなかったのか!?」

「そ、それが……宝物庫に聖剣が見当たらないのです!」

「なんだと!? 盗まれたというのか!?」

「宝物庫に侵入された形跡はありません! 聖剣を入れた後、恐らくは勇者が異世界に召喚したのではないかと思われます!」

「なんだとぉぉぉ!?」



 唯一残された最後の策すら無効に終わったとガルフェンは悟る。

 もうとっくに、手遅れになっていたということを。

二回目のざまあ回でした。

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