最後のチャンス!?
気が付くと、異世界迷子センターにいた。資料を読み終えると、天使風のお姉さんが俺を見る。
「あの…それ、コスプレですか?」
「はっ!? 巫山戯ないで。本物ですから。それより…。あなたが、なぜに異世界転生者に選ばれたのか、資料を読んでも理解できませんね。だって元ニートでしょ?」
天使風コスプレお姉さん。はっきりと痛いところを突いてきたなぁ…。
「ふっ。それは天使風コスプレお姉さんに、先見の明がないからでは?」と悔しいので煽ってみる。
「はっ!? だから、コスプレじゃ…。まぁいいでしょう。それほど、自信があるというならば…。難易度・Sに挑戦したらどうでしょうか?」ニヤリと笑う天使風コスプレお姉さん。
「ははっ。冗談っすよ! お、俺みたいなニー…」
話している最中に床が、ぱっくりと開き、俺は暗い闇の中へ葬られた。
「あら? ごめんなさいね〜。ボタン間違えて押しちゃった。テヘッ」ぺろりと可愛い舌を出す天使であった。
「あら? また難易度・S送り?」丁度やって来た先輩の天使がため息混じりで言った。
「う〜ん、なんでだが、地球ってとこから来るニートって、異世界転生の情報持ち過ぎなのよね〜。臭いし、生意気だし、沢山来るし、面倒なのよ」
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そんなイベントは遠い昔。今は、魔王軍に蹂躙された元王国イーヌにある南東の小さな町にいた。俺はそこで、冒険者として生活している。
驚くことに、この異世界は、俺がリアルでプレイしたゲームの世界観と全く同じだった。
名前だけは、”アッシュ”なんて、ダークヒーローっぽい名前にしたのだが、使えるスキルも魔法も並以下、ステータスも平凡、顔は不細工、性格は陰険っと…。誰もパーティを組んでくれないのだ。
この世界には3つの大陸がある。魔王軍は、この大陸から生まれ、今では別の大陸へ侵略を開始したらしい。なので、この大陸にいる魔物は、弱い魔物ばかりなのだが。
だけど、俺は並以下のヒーラー。ソロ狩りなんて、とても無理。
今日も、トボトボと死にかけの魔物を探して、町の出入り口付近を探索しているのです。だって元気な魔物がいたら、門番に戦って貰えるからね! 擦り付けて、逃げるが勝ち!
やばっ! ちょっと、トイレ…。お金もないし、食べ物もないし、井戸水ばかり飲んでいるせいか、トイレが近い。
はぁ〜っ。と、<小便禁止>の立て札が立っている横の川で用を足していると、川上から何かが流れてきた。
うん? あの姿って…。 異世界迷子センターにいた天使風コスプレお姉さん?
この女は、ナイ! 恩を返す感じの女でもない!
ここから恋愛に発展する要素まるでなし!
土左衛門のように流れてきたのだが、俺はそのまま放置した。
その次に、杖の天辺に神々しいまでの天使の羽が浮かぶ杖が流れてきた。
はいっ! それ絶対にゲット!! 冷たい川に飛び込み、必死に泳ぐ。俺、金槌なんだけど!!
そして、俺は、ゲットした!! 起死回生のレジェンド級ユニークアイテム。
その名も”天使の杖”を!!