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プロローグ

中断している小説は、沢山ありますが、年末年始で終わる感じで書き始めました。


これは昔、実際にやったネカマ体験を、ちょと思い出しながら書いた小説です。

世界で5Gの旋風が吹き荒れると、据置型ゲーム機を一蹴した。演算から表示まで全てクラウドで処理し、5Gの圧倒的なデータ量を活かし、スマホは画面を表示またはユーザの入力を受け付けるだけになった。


そんな時代に圧倒的な人気を博したゲームがある。その名は”隣のケモナー”だ。簡単に言えば、全部入りのゲーム。俺はゲーム内で、最大のギルド”ファイナルアロー”に所属していた。


”隣のケモナー”は、世界同時接続可能を理由に、”リアル通訳機能”を標準で実装していた。アウトプットされる音声は、音声の入力者が自由に選択できる仕様である。勿論、俺が選択したのは”JK”だ。つまり、世界中で、その地域にマッチした16歳前後の少女の声で、俺の会話は再生される。


その機能を利用することにより、俺はネカマとして、”ファイナルアロー”のアイドル、”ニーナ”になった。


今日もチヤホヤされるために、早朝からログインする。ニートの俺は24時間接続可能なのだが、接続しない時間がプレミアム感を演出するのだ。


ログインするれば、次々と俺に挨拶をしてくるオス共。くぅ〜っ。たまらねぇ〜。このチヤホヤ感が俺が生きている証拠だと実感させる。


「ニーナちゃ〜ん。知ってる? 次期、大型アップデートで、”フェイス・キャプチャー”が実装されるんだよ〜ん。これって、カメラで撮影して、男はカッコよく、女の子はキャワワに! デフォルメしてくれるんだって〜!! 俺、メチャカッコよくなってたり、えへへっ。勿論ニーナちゃんは、すげーかわいんだろうけどね!」


はっ!? ”フェイス・キャプチャー”なんて、知らねぇーよ。


「ごめん、ちょっと、学校から連絡! 仮病バレそう! またね」とログアウトする。


公式にアクセスすると、その大型アップデートの内容を食い入るように見つめた…。マジじゃねーか…。頭の中が真っ白になった。俺が青春をつぎ込んだゲーム…。俺の華やかな舞台が消える…。その日はショックでログイン出来なかった。


翌日、ゲームにログインすると、引退を宣言する。ゲーム内で得たアイテムは、リアル電子マネーの”ケモノ・コイン”として売買可能なのだ。俺が所有するアイテム、つまりオスからの貢物は、全てレア級、ユニーク級、レジェンド級なのだ。売りに出せば飛ぶようにマニアが買い漁っていく。全てのアイテムを売りつくした俺の”ケモノ・コイン”、それを日本円に換算すると、約8億円。


そして、”ファイナルアロー”が主催した俺の引退セレモニー。同時ログイン数は、過去最大になり、サーバが悲鳴を上げ、ログインサーバが落ちたとネットニュースで報道されていた。


そして最後の俺からの言葉。最後に何を言うのかと期待する仲間たち…。


「あ、俺、ネカマだから!」と”リアル通訳機能”をオフにして言った。


阿鼻叫喚!! 罵声の嵐!!! 


そんな中、俺は満足し、「ログオフ」する。


***** ***** ***** ***** ***** 


8億もの大金をゲットした俺はタワマンに引っ越し悠々自適の生活を送っていた。まぁ、刺激は少なくなったけど、今では通信講座でペン字を習っている。ネットばかりじゃ、人間駄目になると気が付いたからだ。


早朝のランニング中、交差点で信号が変わるのを待っていると「ニーナさん?」不意に声をかけられた。「えっ!?」と振り向くと…。その先、俺は何も覚えていなかった。

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