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姜伯約の北伐政策  作者: はくりなのい
第二章 蔡文姫の知略
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幻影の焔~宴の恋~

「……ああ……何という……」

 姜維はそのまま膝から崩れ落ちた。いや、もう失神してしまいたい勢いである。

 夜。歓迎という事で、城内で前夜祭のような宴が開かれた。その間に色々調べてしまおうか、そう思ったが練師や尚香、魯班までがそれに参加すると聞き、そこでなら練師や孫権の姿を確認出来る。何かわかるかもしれない――と参加した次第である。豪勢な食事、出し物、綺麗な女官、彼女達を侍らせる孫権。もちろん、劉禅や曹叡の傍にも彼女達がいた。嫌な予感がする。趙雲がそう言ってから僅か数十分後、劉禅は酒と女で骨抜きにされていた。

「……見事に潰れますね、あれは」

「私が居ながら何たる失態……ッくっ」

 趙雲は悔しそうに顔を背け、拳を握り締める。だが、あれは仕方がないと思う。そもそも呉に来た時点でこんな状態だったような気がする。姜維は隣で悔しがる趙雲を励ました。

「で、でも、ほら、元姫殿と蔡琰殿が居るので……」

 骨抜きにされては仕方がない。一先ず見張っていてくれという事で元姫は劉禅を、蔡琰は曹叡を近くから見張る。女性の二人が近くで見張っていても違和感はない。そのため、姜維達は少し離れた場所から二人を見守る。

「まあ……殿も昔は呉に籠絡されかけたから、劉禅殿がこうなることは知っていた」

「劉備様がですか?」

「ああ、贅沢尽くしで帰る時に“俺、こんなに贅沢したの初めてだ……帰りたくない……”って英雄の面影もない顔でな……情けない事を言われて、私がケツを叩いて帰らせたのだ」

 劉備にそんな過去があったとは。今の姿から全く考えられない。何より昔は一人称が違っていた事に驚きだ。まあ、彼も昔はやんちゃをしていたと言うし、そんなものかと判断する。

「それより、何かわかったことありますか、趙雲殿は」

「そうだな。孫権殿や、練師殿と会って話をしたくらいだ。私は会話を聞いていたのみだからな、これと言って何かは……――あ、いや、一つあるな」

 疑問みたいなものだが、趙雲は口元に手を添える。

「練師殿が心此処に非ずという感じだった。孫権殿からも“練師は最近おかしいのだ”と聞いている。病が悪化しているのではないかと彼は判断しているようだが」

「やはりですか」

 疑問を投げられ、姜維は首を縦に振って口を開く。

「はい。夕方、孫魯班と会いまして、彼女も同じような事を」

 姜維は魯班と話した事を全て趙雲に伝えた。趙雲は口元に手を添えて考え込む。おかしい事ばかりが続いている呉で、何処か引っかかりを感じる。彼もまた姜維と同じだった。

「諸葛亮殿と殿には私から竹簡を送っておく。姜維お前は元姫殿と調査を」

「はい。……あと、曹丕は何処に?」

「宴の間に色々調べるそうだ。そっちは彼に任せておいたらいいだろう」

 勝手に死体になっていなければいいが。いや、死体になっていた方がいいな、うん。姜維は腕を組み、武器として持っている槍を腕へ挟み込む。劉禅の隣に座っている呉の将兵が酔っ払っては元姫の肩を引き寄せている。姜維は舌打ちし、一歩足を進め槍を持つ手に力を込めた。

「姜維は元姫殿が好きなのか」

「誤解しないでください。私は別にそんなつもりじゃありません」

「ああ、姜維が好きなのは月英殿だったか」

「いえ、そういう訳では……いや、月英殿の事は好きですが……ああ、えーっと、そういう意味ではなくて!」


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