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呼勇至魔記  作者: SaicA
9/18

7日目、晴れ(1)

 こっちに来てから、丁度一週間。7日目だ。

 だからと言って何かが変わる訳でも無く、今日も今日とて日課にされている訓練に勤しんでいた。

 「197……198……199…………200!」

 「はいそこまで、それでは小休止にしましょう」

 はあ、と息を吐き出しその場に勢い良く腰を下ろす。

 「何が悲しくて剣道部でもないのに素振り200回をNセット(Nは任意の整数)しなくちゃならんのだ……」

 このぼやきも日課。矢鱈と重い棒を持ち上げては振り下ろし、持ち上げては振り下ろしをするのも楽ではない。というか、しんどい。


 「でも、始めの頃と比べると大分良くなったじゃない?」

 事実、その通りだ。

 最初は百も満足に振れなかった。だが今はどうだ?それが苦も無く振れる。無論両手持ちに限るが。

 ちなみに彼女の場合は少々数が少なく設定されている。男女差別良くない。

 「勇者様の成長には目覚ましいモノがありますね。この分なら片手で扱える日もそう遠くは無いでしょう」

 これを片手でかぁ……と、右腕の力だけで持ち上げてみる。

 まだそれなりの重量は感じるが、確かにこの分なら近いうちに扱えそうだ。

 「では、そろそろ休憩は終わりにして再開しましょうか」

 「うへぇ」

 まあ、身体を動かすだけだから考えなくていい分楽だけど。


 「我が手に集え、生命の源たる煌めく炎よ。エクスブレイズ!」

 凡そ必要のない詠唱と、凡そ必要でないポージングをしつつ、凡そ尋常ではない炎をその掌から打ち出す姿は、さながら魔女の如く。

 剣の鍛錬は終わって、今は魔法の練習中だ。


 「どう?今の、かっこ良くなかった?」

 「そうだな、その無駄セリフと決めポーズさえ無ければ良かったと思うよ」

 「はうっ」

 望んでいた答えと違う回答が返ってきたようで、目に見えるように落胆した彼女。ご丁寧にセルフ効果音付き。

 満面の笑みで聞かれようが、ダサイものはダサイ。というか、痛々しい。この人実は中学二年生だったのでは?

 「ふむ、もう少し詠唱に厳格さを出してみては?そのままでは聊か短すぎるかと」

 そしてコイツも何でノリノリなの?

 「なるほど!じゃあもっと長くしてみようかなあ」

 うーん、と唸りながらどうでもいい事を考えだす。そんな不真面目な事をしながらも、彼女の両の掌からは絶えず炎や氷が生み出されては消えてゆく。


 あれから俺も練習を重ねた結果、魔法を発現させる事は問題なく出来るようにはなった。

 だが、魔法の発現にはそれなりの集中が必要である。

 故に、そこの魔女の様に巫山戯た真似をしながらなんて、今の俺には到底出来そうにないのだ。

 これが才能なのか、得意不得意の差なのか、それを知る術は無い。

 「詠唱なんて無くても魔法出せるんだからいいだろそんなん……」

 呆れたように言う俺だったが、ここでまさかの事実が聞かされる。

 「ああ、でも詠唱ならうちの魔導士も唱えている者は何人かいますよ。集中出来るとか何とか」

 「マジで!?」

 ……思わず叫んでしまった。

 隣で、ほらやっぱり。と言わんばかりの得意げな顔をしてる奴がいるが、見なかった事にする。



 成長を感じ取った、7日目。




 大きな、勘違いだ。

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