15~29日目
15日目、雨。
魔法技術の進捗……………無し。
今日の模擬戦………………全敗。
有益な情報…………………皆無。
魔法、というのは場所を選ばない。あらゆるモノに存在するマナを使う、といった話は以前しただろう。
大気は基本的に人が生きれる環境なら何処にでもある。ならばマナも同様である。といった具合だ。
16日目、晴れ。
魔法技術の進捗……………無し。
今日の模擬戦………………全敗。
有益な情報…………………皆無。
まあ、大気に限った話ではないが、基本的に人が生きてる場所はマナが存在する。と考えていい。
しかし、人為的に魔法を発動させなくする方法はある。それは大きく分けて二つ。
17日目、晴れ。
魔法技術の進捗……………有り。
今日の模擬戦………………全敗。
有益な情報…………………皆無。
マナの存在を許さぬ、隔離された空間を造る。
又は、発動体のMP──正式名称は「魔法発動可能領域」──を全て削り取る。
18日目、曇り。
魔法技術の進捗……………無し。
今日の模擬戦………………全敗。
有益な情報…………………皆無。
尚、どちらの方法も現実的ではない。
何故か?それは酷く簡単な話だ。
19日目、雨。
魔法技術の進捗……………無し。
今日の模擬戦………………全敗。
有益な情報…………………皆無。
例えば、部屋一つを人一人の力で真空で満たせるか?
例えば、他人の力という力を全て奪えるか?
20日目、晴れ。
魔法技術の進捗……………無し。
今日の模擬戦………………全敗。
有益な情報…………………有り。
答えは「NO」だ。
それは、魔法があったとて同じ。むしろ、逆だ。
21日目、晴れ。
魔法技術の進捗……………無し。
今日の模擬戦………………全敗。
有益な情報…………………皆無。
正確には、真空の環境は生み出せる。
問題は、魔法を介する時点で「マナの存在しない環境」を造る事自体が不可能なのだ。
22日目、晴れ。
魔法技術の進捗……………有り。
今日の模擬戦………………全敗。
有益な情報…………………皆無。
魔法は魔力を強制的に変質させたモノである。故に魔力は魔法とニアリーイコールの関係にある。
そして、発現した魔法は強制力から解き放たれた、とも言える。
23日目、曇り。
魔法技術の進捗……………無し。
今日の模擬戦………………全敗。
有益な情報…………………皆無。
とどのつまり、魔法は魔力と戻るのだ。そして魔力も同じく、やがてマナへと戻り霧散する。
よって、「マナの存在しない環境」は事実上不可能なのだ。Q.E.D.
24日目、雨。
魔法技術の進捗……………無し。
今日の模擬戦………………全敗。
有益な情報…………………有り。
ああ、ちなみに他人のMPを削りきっても無駄だ。詳細は省くが、MPは即時回復が可能だからだ。
さあ本題だ。何故俺はこんな話をした?
25日目、雨。
魔法技術の進捗……………無し。
今日の模擬戦………………全敗。
有益な情報…………………有り。
何故俺は魔法についてこんなにも調べる必要があった?
何故俺は魔法の有用性を遠回しにも述べた?
26日目、雨。
魔法技術の進捗……………有り。
今日の模擬戦………………全敗。
有益な情報…………………有り。
それはやはり、酷く単純明快で、とても簡単な話だった。
27日目、雨。
魔法技術の進捗……………有り。
今日の模擬戦………………全敗。
有益な情報…………………有り。
何故なら俺は、この世界に於て「魔法」を警戒してるから。
28日目、雨。
魔法技術の進捗……………有り。
今日の模擬戦………………全敗。
有益な情報…………………有り。
何故なら俺は、この世界の人間を誰も信用してないから。
29日目、雨。
魔法技術の進捗……………有り。
今日の模擬戦………………全敗。
有益な情報…………………有り。
何故なら俺は、この世界がとても嫌いだから。
何故なら俺は、この世界を────
……おっと、時間だ。そろそろ行かないと。
何をしに、だって?
そんなの決まってる。
そもそも最初から分かり切っていた事じゃないか。
────人を呼び付けておいて、勝手に使命を擦り付けたこの王に────
────挙句の果てに強制労働、事実上の拉致監禁をしたこの国に────
────生きる事すら苦痛な、この地獄へと俺を呼び出した人間に────
後悔を、与えてやるのだ────
30日目。
それは、この世界に来て初めての。
昨日までの雨が嘘のような。
雲一つない、晴れやかな晴天だった。
それはまるで、勇者たる俺の新たな門出を祝っているかの様だった。




