プロローグ『突然の異世界』
がんばります。タグにはいろいろ付けたけど、かけるかどうか分からない要素がちらほらあるという事実。(主に青春)
ちなみにこれ、複数の主人公で書くつもりです。遅筆ですが、よろしく!
気付けば俺たちは、見たこともない場所に立っていた。
さっきまで、教室にいたはずの俺とそのクラスメイト達は草原の上に立ち、突如として姿を変えてしまった風景に困惑を隠せないでいた。ここはどこなのか。なぜ、ここにいるのか。
何もわからないまま立ち尽くす。
あたりを見回しても草原が広がっているだけ。石でできた柱のようなものが無秩序に立っているだけで、建物も、人も、なにもかも見当たらない。
あまりの出来事に放心していた俺たちだったが、時間が経つにつれて徐々に口を開くものが現れ始めた。
「が、外国かなのかな?」
「石の柱ってことはそうなんじゃね? ギリシャとか?に、二度目の修学旅行?」
「あほか。なんで俺たちが外国にいるんだよ。さっきまで教室にいたじゃねぇか」
「そんなこと俺に聞くなよ」
不安から声を震わせるもの、理不尽な展開に苛立つもの、カラ元気を振りまき周りを落ち着かせようとするもの、ただ茫然自失としているもの。みんながみんな様々な反応をしていたけれども、冷静に見える奴なんて誰一人としていなかった。
かくいう俺も、展開についていけず黙ってあたりを見回すことしかできなかった。こんなトンデモ展開についていけれる冷静沈着な性格だったのなら、もっといい人生が送れている。
俺という人間は語るにしては平凡すぎてつまらない。自身でも中の下を自覚している。高校での成績は平均点。運動神経は誰にも目を止められない程度。顔は仲間内でも褒められたことがない。中学の時、しゃべり方が気持ち悪いと派手な女子に言われたことはある。友達は”気になるほど”ではないと言ってくれた。そんな自分のことを考えていると少しだけ心が落ち着いてきた。
心地よい風がほほをなでる。もし本当にこれがただの旅行だったのなら、レジャーシートでも広げて弁当でも食べたいようないい天気だった。
不意に、一迅の強い風が吹いた。
俺は目をつぶった。どうしてかは分からない。ただの反射であった気もするし、”そうしなければいけない”と思ったからのような気もする。ともかく、俺は、俺たちは目をつぶった。
目を開ければ、宙に美しい女性が浮いていた。
「こんにちわ。異世界の子供たち。私はノルン。この世界の神の一人です」
神秘的なまでに美しいその女性は、俺が今まで聞いた中で一番きれいな声でそう挨拶をした。
彼女の登場、そしてその存在に、ここにいる誰もが息をのんでいるのが分かった。さっきまでの話声はパタリと止み、誰もが彼女の声に耳を傾けている。
もしかして、ここは俺がもといた”世界”ではないのかもしれない。ぼんやりとそう思った。
「あなたたちには、この世界をよくしてもらいたいの」
にっこりと優しくほほ笑むノルン。そこで、クラスメイトの一人が彼女に話しかけた。生徒会長をしている男子生徒で、俺とは違い完璧超人と名高い人格者だった。正直、俺は彼の事が苦手で、生徒会長選挙の時は明らかに見劣りするもう一人の立候補者に投票したほどだった。
「どうやって?」
「どうでも。好きなようにしてくれたらいいわ。異世界からの人だもの。どのように生きても、この世界に新しい風を吹き込んでくれるでしょう」
「どうして、僕たちを?僕たちは学生で」
「どうでもいいわ」
質問を続けた彼の言葉を、ノルンはぴしゃりと遮った。心なしかその目は冷たい。
「私の話の邪魔だから、黙りなさい。あなたがそれを語る必要もないし、私が答える理由もない。それに、どうだっていいの」
俺に背中を向けている彼の表情は分からない。ただいつになく頼りないその様子は、その目に戸惑っているようでもあった。
「醜い魂。正視に耐えるわ」
今までの優しい様子が嘘のように、ノルンは彼をそう吐き捨てた。そして、突然彼の体が揺らいだ。
「…ごふっ……」
赤い雫が、彼から落ちるのが見えた。どうやら血を吐いたらしい。
「真田くん!」
クラスメイトの女子が彼の名前を叫び駆け寄ろうとしたが、ノルンに睨まれて止まった。
その気持ちは痛いほど分かった。畏怖していた。俺も彼女も、この異界の神を。
足がすくんで動けなかった。彼女にたった一度睨まれただけで。
生徒会長の体が、予想していたよりも軽い音を立てて倒れた。
そして、ノルンは何もなかったかのように俺たちにまたあの優しい笑みを向けた。
「さぁ、異世界の子供たち。プレゼントをあげましょう」
俺たち一人一人に、A4サイズの紙が一枚、どこからともなく目の前に現れた。その紙はひらりと舞い、制服のポケットに吸い込まれるように収まった。
「これは、いわばあなたたち自身の説明書よ。この世界の新入りたるあなたたちは、この世界での自分が分からないでしょうから。その紙には、『この世界での自分』が書かれているわ。元の世界とは違う自分の特徴がね」
俺たちは呆然と彼女を見上げる。向ける感情は恐怖と敬愛に似ていた気がする。
「では、貴方たちがこの世界の英雄たらんことを祈っているわ」
ただそれだけを言い残し、現れたときと同じように、目を開けたときには彼女は俺たちの前から消えていた。
ぼちぼち書くつもりです。間隔空いたらごめんなさい。気長に待ってくれると嬉しいです。