8話
学校に着いた。違和感は、より一層濃くなる。同級生、他学年の先輩、後輩。みんなが俺達を指さしてヒソヒソと話をする。
「――ねぇ……あれ」
「――あぁ、Fクラスの……」
嫌な気分だ……。
流石に祥平も異変に気付いたようで、苦い顔を浮かべている。
「尚也、なんか……おかしくね?」
「あぁ、さっき指さされてた……」
「正也、俺達なんかしたっけか?なんか知らな」
「――悪い……俺、教室向こうだから」
正也は、祥平の言葉を遮ると、俺ら二人と目も合わせず、そそくさと、この場から離れていった。でも、俺は見た。振り向く直前。正也の表情は――歪んでいた。まるで、汚物を顔面にぶつけられた様な……酷い顔。
「なんだよ、あいつ」
正也の態度に顔を顰める祥平。
「行くぞ、祥平」
俺はそれだけ言って、祥平の肩を掴む。そして、方向を変えて歩き出した。祥平は一度舌打ちをすると、黙って隣に並んだ。
教室に入ると、驚くぐらい普通の日常が広がっていた。
怠そうに机に突っ伏す生徒。友人と、昨日のTV番組の話をする生徒。拍子抜けする程、日常的な光景。でもそれが、凄く不気味だった。まるで、録画された映像でも見せられているような、そんな気分……。
西野、まだ来てないな……。
教室をグルリと見回し、ため息。
そのとき
「いゃぁぁぁぁ!!」
教室の外から絶叫が聞こえた。しかし、教室内は不気味な程平常。中には不安の表情を浮かべている者もいるが、その数は圧倒的に少ない。不安の表情を浮かべる祥平と目が合う。俺は祥平に一度頷くと、教室を飛び出した。祥平は、手を伸ばし、尚也の背中を見つめていた。




