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UTOPIA〜ユートピア〜  作者: トミー
ヒキニートファンタジー
3/5

帰り道

人が混み合い賑わう商店街の通りを抜けて、エンジン音が鳴り響く歩道へと出た。



俺の必需品、ヘッドホンの外界情報カット能力に頼っていたとはいえ、人混みの中を何回も通り抜けるなど今日一日俺は成長したとしみじみ思う。


必要のない成長だが……。


そんなことより、




「なんでついてくる?」



俺の後ろには、朝ぶつかった男と足をひっかけてきた男が何食わぬ顔をしてそこに立っていた。


「なんでって…、部活勧誘?」


猫目の男がニヤニヤしながら、肩に手を置く。


「ここはもう校外だぞ?なんでついてきてまで俺を勧誘してくる?どれだけ勧誘してきても入る気はない」


肩の手を払いながら、ため息をついた。


一方で猫目の男は、「そんなこと言うなよー」と諦めるそぶりはまったくないようだった。


「部活楽しいよ?もう腹筋がおしゃかになるくらい笑えるよwww」



「なんだ、その語尾のwwwは?無駄に気になるな」



「んじゃ、入る?」



「だが断る!!」



「なんでーだよーー」


ブーブーと猫目野郎、


俺はこう代弁した。



「部活なんて所詮ごっこ遊びだろ、それなら家でアニメ見てた方がいいじゃん」


休日(ほぼ毎日だったが)は、起きている時間をアニメ、ゲーム、その他もろもろに費やしている俺に部活動をやれという方が無理があると思う。


第一、何度も言っているがコミュ障スキルマスターの俺に人との関わりは針山地獄を倒立で踏破しろと言っているのとおなじなのだ。



「そんなことないよー、他の部活もそうだけど俺たちのはとくにね、特別なんだよー」


ウィンクをしつつ、人差し指を左右に揺らす。


その姿を見て俺は怪訝そうな表情で睨みつけたが、意味がないことを悟った。



「とりあえず、俺は部活には入らん、それだけだ」


「えー、おもしろいのになー」


「だいたい、お前の顔には俺をバカにしているようにしか見えないんだよ」


朝会った時もそうだ、


いきなり足ひっかけてきたし、なのにまともに謝らないし、しかも意味不明の言葉を残していくし……。


「そう言えばおまえ、あのときなんで俺のこと面白いとか言ったんだよ」


「ん?お前って僕のことかな?僕のことはツララって呼んでいいよー」


「お、おう、じゃなくて!!なんでかって聞いてんの!!」



「それはねー、あの…」



ツララが謎解きの答えを言おうとしたその瞬間、


大きな爆音が辺りに響いた。


そして時間差に人の悲鳴と車のブザーの音が共鳴して、俺の耳の中へと流れていった。


「な、なんだ!?」


「んー、どうやら近くで爆発があったみたいだねー、なにがあったんだろうねー」


「おまえ、なにもわかってないのに口開くなや」


俺の言葉にツララは「てへぺろ♪」と聞こえてきそうな勢いでベロを出した。




「僕のこと言えないよシンジくん、君はビビりすぎでしょwww」


「う、うるせぇ!!」


ツララにバカにされるのも仕方が無い、


なぜなら大勢の民衆の中で一人だけ尻もちをついている人間がいる。


俺である。



「いやー、マジで最高!!いいもん見せてもらったよ」


「忘れろ、いますぐ忘れろ!!」


とても爆発があった後のテンションとは思えない、


だがそんなもん知るか!!


ツララの口は塞いでおかないと学校中に知れ渡ってしまうかもしれない、


それだけは絶対に阻止する!!



ツララと取っ組み合いになる。


だがさすがヒキニート、


筋力がなさすぎて押す前からきつい。


死ぬ……。







「おまえたち、ふざけるのもいい加減にしろ」




「おわっ!!」


後ろにいたもう一人の部活勧誘者の一言で、急にツララが力を抜いたので、前方に滑り込むように倒れた。


顔と観衆の目が痛い。


「どうやらあそこの銀行で強盗があったようだな、それもグループで行動してるっぽいな」


「ふーん、よくわかるなー、この距離で」


銀行強盗、


東京とはいえ、それほど都会ではなく活気があるわけでもないこの街で起きるとは、


それもグループで計画を起こしている。


ほんとに珍しいこともあるもんだ。


「少し見てこーぜ」


だんだんと野次馬が集まってくる中を無理矢理入り込んで先頭へと出た。


そこには、銃を持った男がシャッターの前で中にいる人たちに怒鳴っていた。


人質の中には赤ん坊からおばぁちゃんまで色々な歳の人が腕を後ろで縛られていた。




そんなこんなてわ観察していると、シャッターが閉まり始めた。


おそらくこれから警察との交渉が始まるのだろう。












「あ?」


もう一度、一瞬だけ人質全体を見たとき、何か違和感を感じる。


違和感というのは、服装や髪色のこともそうで、一人だけ断然目立っている奴がいた。


何でさっきまで気づかなかったのか?


自分でも気になるほど驚いた。



だがそれは結局彼女に気づかなかったことに驚いただけで、俺の真意はそんなことではない。


その派手な服装と髪型をしている女性、




俺の妹だった。




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