第七話 カルタ奉行
カルタ大会もついに終盤。
残った札は残り5枚となった。
俺は札を2枚しか取っていなかった。
奴は43枚。
どういうことだ!?
「…なぁマルさん。君、ちょっとカルタ強すぎやしないかい?」
俺がそう聞くと
「またその話題かい?僕はカルタの才能があるんだ」
「カルタの才能ってなぁ…?イカサマじゃねぇの?」
「失礼な!カルタにイカサマなんて…あるわけないじゃないか!」
マルさんに怒られた。
確かに疑った俺が悪いな。
「そうだな…。ごめんマルさん。」
「分かってくれればいいんだけど。」
ついに読み札が読まれた。
「“ち”のいろは 赤色だけど 僕は白…」
「はいっ!!!!!!!」
「くそっ!!」
また、マルさんに取られた。
「悪いね、神田君♪」
「マルさん、君、本当は超能力でも使ってるんじゃない?」
俺が冗談交じりにそういうと、
マルさんはハッとして俺の顔を見た。
「実はね、神田君…」
マルさんの衝撃の一言に、俺は驚愕した。
「僕は、超能力が使えるんだ…」
「なっ…!?」
正直ビビった。
俺以外に超能力を使える者がいたとは…
「カルタの読み札が読まれるだろ?
そしたら、自分は適当に手を出す。
すると、僕の手は勝手にその絵札を押さえているんだ。
つまり、手さえ出せば無意識に勝てるんだ…」
なんて地味な能力だ…!!!
俺に引けを取らないッ!
いや、俺のほうがマシかな?
「そうなんだ」
「なんだ神田君?驚かないのかい?嘘だと思わないのかい?」
確かに一般人なら真に受け止めて驚くか、
嘘だとバカにするか、そんな感じの反応をするだろう。
だが、俺にも超能力がある。
「驚かないよ。超能力ってよくあるじゃん」
俺はそんな適当な返事をした。
自分の能力をマルさんに言いたくはなかった。
なぜなら
マルさんの能力は遊戯で発揮できるのだが、
俺の能力は思い出作りとか自慰とかでしか発揮できん。
変態でクソ能力だからだ。
「なんか神田君に話してすっとしたよ。…あ、これは内緒ね」
「オッケー」
そうしてカルタ大会は終了した。
俺とマルさんは互いにガッチリ握手した。
結果は
マルさん48枚。
俺、変わらず2枚…。