たぶんはじまり
◇そこは昔でいまはどこ?
ここはどこだろう。
目が覚めるとどこか知らない場所にボクはいた、周りになにもない殺風景な部屋。
そこでボクは彼女と出会った。
○○○
白と黒の瓦礫の景色を歩く人影が二つ
1人は袋を担いでてこてこ進む
後ろを気にしながら
1人は袋を担いだ人にぺたぺたついていく
前に遅れないように
二人が歩くその道は、特に目的もなくただひたすら歩いている。しばらく歩きモノクロトーンに飽きた頃、ぼんやりと遠くに建物が見える。
てこてこぺたぺた近付いていくと屋根と壁のある家に辿り着く。
「ふーっ、歩いた歩いたっ今日はここで休もうか」
袋を降ろしながらボクは彼女に話しかける
「…きょう は ここ で やすむ?」
少し置いて彼女は返す
「うん、屋根があって壁もある。なかなかいいところが見つかったからねー。休めるときに休むっ、大事だよ。」
「…やね かべ いいところ やすむ だいじ?」
「大事、大事、それにごはんもおいしくなると思うよ」
これは人によると思うけど
「ごはん!」彼女が反応する。しまった
つい言ってしまった、まだ何も料理ができていないのに。
彼女は[ごはん]……つまり[食欲]に対する欲求はかなり大きい。それは彼女が人間でなく人も食べる人外だからかもしれないとボクは思う。実際に食べ物がなくどうしようもなかった時、ボクは彼女に非常食として食べられかけた。その時は運良くあの人たちが通りかって助かったけれど。あんな思いはできれば繰り返したくない。それ以来、ボクは彼女の[ごはん]管理をしっかりしている。…していたと思う。
「……ごはんは?」
「うわっ!」
目の前に彼女の顔がある。[ごはん]発言から何もないのを不思議そうにしているみたいだ。
「えーとごはんはまだ…」
「まだ?」
「……ちょこっと後になるかな」
彼女が笑顔から変わる、まずい
不機嫌になる前にその場しのぎの飴玉をリュックから探し彼女の口に入れる。飴玉で落ち着いてる間に説明しないと。
「…まだ家の中を見ていないから、すぐごはんを食べられるか分からないんだ、片付けとか掃除もしないといけない」
「……」
「中の様子次第ですぐに出発も考えてるからね。それに…」
「それに?」
「中に食べ物があるかもしれないよ?それを見つけてからでもいいんじゃないかな」
苦しいと思いつつもボクは言った
「たべもの…」
「うん、見つけたらごはんに増やすから今は我慢してほしいな」
あまり触れるのはいけない気もするけど彼女の頭をなでなでしながらお願いする
「…わかった、がまんする」
しぶしぶ了承する彼女をみて、ついボクは
「んっ、偉いよ、今日はご褒美にお肉にするから」
とまたやってしまった。
興奮する彼女をなだめてやっとで家に入れたのは着いてから一時間たってからである。