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動き始める針

 私はどうしてこのようなことをしているんだろう。早百合は自分の部屋で机の前に座っていた。そして、2枚のチケットを見つめている。遊園地の絵柄が書いてある可愛いチケット2枚置いてある。


 どうして誘おうと思ったのかな、分からない、分からないけど一緒に行きたいと思ったから誘おうと思ったのだろう。でも、誘えなかった。だから、今の私は悲しんでいるんだ。誘えなかった自分に苛立ちを感じる。いや、なんで怒っているのだろう。そもそも、私は人を誘おうとする人ではない、そんな昔から知っているじゃないか。

 早百合は天井に視線を向ける。そして、雪のように透明で透き通る声で呟いた。


「私って恋しているのかな」


 って、そんわけないね。私は人を好きになるよう人ではない。

 それに、想いなんていう感情なんて解らない。

 ああ、でも、この胸の騒めきはいったいどういう感情なのだろう。

 早百合は視線を戻し、撫でるようにチケットを触る。ゆっくりと優しく、想いを秘めながら。



 拓哉視点。


 翌日の朝、いつものように学校に向かって歩く。何も変わらない日々だと思っていた日々が変わり始めている。生徒会に入ったり、早百合と部活をしたりなど、前の俺では考えられないような日々を送っている。


 昨日は生徒会が忙しく疲れたな。今日は早百合に部活来いと言われている。だから、今日はちゃんと行かなければならない。別に義務感なんてない。ただ、思ったより文武両道は難しいし大変だ。思った数倍体が動かないし、動けない。


 そんなことを考えて居ると、後ろから声をかけられる。


「拓哉君だよね?」


 反射的に声のする方に視線を向ける。そこには、城川南が居た。

 短い髪を垂らし、綺麗に制服を着ていた。どこらか見ても美人な姿であった。


「えーと。うん」


「よかった〜! 加奈から聞いてる、よね?」


 加奈から聞いてる? あー恋愛の話か。すっかり忘れていたな。


「うん。聞いてるよ」


 南は笑みを零し、はにかんだ様子で呟いた。


「早速なんだけどさ、私と付き合ってもらえる?」


 なるほど、どういうことだ??

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