2人目の美少女
花咲凛視点。
私は今テストを行なっている。多少心が痛むがこれはテストだから仕方がない。部長の中から生徒会に入れる人材を探せと先生から言われた。だから、私は今テストを行いながら探している。
「では、廃部にするべきと思う部活はありますか?」
私は部長たちの顔をみながら言う。
今回のテストの点数の付け方は簡単だ。勇気、根性、人柄、愛想、これらがテストの項目である。
今のところ誰も合格する見込みはないがな……にしても誰もテストの存在に気付いていないのか? そもそも、部活を減らすという話しの時点で怪しと思うはずだかな。
さて、今回も合格者はいな――
「凛さん、俺は譲る気はありません」
私は声のする方に視線を向ける。
そこには、相談部部長、拓哉が居た。
もしかして、彼は気づいたのか?
拓哉の一言に部長たちは戸惑い困惑する。彼は何を言っているんだ? と言わんばかりな顔をする。
「拓哉君。合格だ」
拓哉視点。
「拓哉君。合格だ」
凛の声が響く。
合格という言葉に部長たちは固まる。今、この現状を理解できているのは俺と凛先輩だけだ。
「廃部の話は無かったことにする。では、解散だ」
凛は部長たちに笑みを浮かべながら言う。その言葉を聞き、部長たちは部屋を出て行く。
そして、俺は座ったまま待つ。
部長たちが居なくなり、凛は気難しいそうな顔をし俺の横に座る。
「何故、分かったんだ!?」
「なんとなくですかね……ていうか、本当にテストだったんですか?」
「ああ。生徒会に入れるかのテストだ」
つまり、俺は生徒会に入るということなのだろうか。
「つまり俺は……生徒会の一員ってことですか?」
「そういうことだ。おめでとう」
なんとも言えない気持ちになる。
由比ヶ浜高校は、生徒会は特殊だ。いつ行われるか分からないテストがあり、それに合格しないといけない。
生徒会の一員になりたいとしても、なれない。テストに合格しない限り。
だか、俺は合格してしまった。誰もが羨む生徒会の一員になってしまったのだ。
「明日の朝、生徒会室に来てくれ!」
凛は指で軽く机をトントンと叩く。小刻みな音に安らぎを感じつつも、話はどんどん進んで行く。
「その、本当に俺でいいんですか?」
「ああ。だってあの状況で「俺は譲る気はありません」って普通は言えない。まさに生徒会に必要な人材だ」
「なるほど」
「頼むよ! 私は期待している。拓哉君の行動に」
そう言い凛は立ち上がる。
凛は椅子を中に入れ、部屋を出ようとする。
「ああ。そうだ!」
凛はドアの前に止まり俺を見つめる。
「今週の土曜日空いてるか?」
「空いてますけど……」
「よかった。では、土曜日は私とデートするぞ」
「へ?」
「気にするな合格祝いだ!」
そう言い凛は部屋を出た。
どういうことだ……
今週の土曜日にデート!? え!? 俺が?
いやいや、何かの間違いだよ……な。
あんな、綺麗な人とデート……
てか、合格祝ってなんだよ……
これが、容姿端麗で凛とした性格の花咲凛との出会いだった。