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短編・通学路にあった、やたらエナドリ系にこだわりがあるおばあさんがいた駄菓子屋の想い出

作者: 高山路麒

 初めまして、高山路麒と申します。


 この度なろうの公式企画で帰り道をテーマにしたホラー系の小説を投稿しましょうというものがあり、これといったネタがなかったのでスルーをするつもりでしたが、ふと小学生の頃の不思議な出来事を思い出したので書いてみる事にしました。実体験なので厳密にはエッセイになるんでしょうか?


 さて、私が小学生低学年の頃、通学路に一軒の駄菓子屋がありました。ホラー企画なのに期待に沿えず申し訳ありませんが、別に手に入れたら発狂する宝石や捨てても戻って来る呪いの人形といった変な物は取り扱っていない、おばあさんが一人で経営しているごくごく普通の駄菓子屋でした。


 駄菓子屋にはお菓子以外にもバネの玩具や、裏返したら跳ねる半円球のアレ、ビー玉を発射する玩具なんてのも売っていましたね。全部わかった同世代の方は仲良く出来そうなのでブクマ登録お願いします。


 特にビー玉を発射する玩具はお気に入りで休日にダンボールに乗せた黒ひげ危機一髪の樽を撃ち落とすという遊びを一人で五時間くらいやっていました。そしてようやく樽が落ちた瞬間、とてつもない達成感と同時に得体の知れない虚無感に襲われました。


 恐らくこれはオリンピックのアスリートの多くが経験する燃え尽き症候群にも似た何かでしょう。私は小学生にして早くも人生は無意味であるという事を知ってしまいました。あるいは自分は友達と遊ばず家で独り何を無意味かつ非生産的な事をやっているんだろうという虚しさに気付いたのかもしれませんが。


 ちょっと話がそれましたが当時の玩具は今思い返すと何が楽しいのやら、といったものばかりでした。ですが小学生の自分にとっては数少ない娯楽ではありましたね。


 私は学校から帰る途中度々その駄菓子屋を訪れていました。我が家にはお小遣いなんていう制度はなくお金の入手経路は基本的にお年玉かお使いのお駄賃くらいであり、コツコツと集めたなけなしのお金を持って大体週一くらいのペースで自分は足繁く駄菓子屋に通っていました。


 自分がその駄菓子屋に通っていたのには別の理由もあります。そのお店では他のお店にはない、ライフガードというジュースが売られていました。


 多分皆さんも一度は見た事がある緑色のアレです。今でこそどこでも買えますが買う人を選ぶケミカルドリンクの筆頭格のそのジュースは当時、少なくとも自分の住んでいた地域では売っている場所が限られていました。


 また駄菓子屋のおばあさんはちょこちょこサービスをしてくれて、売り物ではないお菓子やオロナミンCをくれたりしていました。それもまたその駄菓子屋を贔屓にしていた理由の一つでしたね。


 しかし当時の事を思い出しながら文章を書いていますが駄菓子屋のおばあさんは随分とエナドリ系にこだわりがあったようです。レッドブルもない時代に随分と時代を先取りしていたおばあさんです。


 そんな感じで学校に行っては駄菓子屋に、また駄菓子屋に、学校に行っては駄菓子屋にとエナドリおばあさんの駄菓子屋に通い続けていたある日の事、自分は同級生とその駄菓子屋についての会話をしました。


 しかし同級生は怪訝そうな顔になり、このような言葉が返ってきました。


「あそこの駄菓子屋? おばあさん大分前に死んだよ?」


 と、内容としてはそんな感じでした。一週間くらい前にも訪れていたのにそれはありえません。おそらくは別の駄菓子屋と勘違いしているのだろうと自分は思いました。


 ですが帰り道いつものように駄菓子屋に立ち寄ると店は閉まっており、ガラス窓から覗いても商品は一切ありませんでした。


 大分前に死んだという表現の解釈には幅があります。人によっては一年前でも一か月前でも一週間前でも大分前です。もしかすれば自分が訪れなかった一週間程度の期間の間にエナドリおばあさんが亡くなったのかもしれません。


 ですが、大人になった今でもこの疑問に関して腑に落ちる解答にはまだたどりついておりません。


 ただ一つ言える事は、自分は今でもライフガードが好きでちょこちょこ飲んでいるという事です。そしてたまにデカビタも。それになによりビー玉で遊んだ時の虚無感ははっきりと覚えております草ァン。


 以上、自分が小学生時代に体験したちょっと不思議な想い出でした。

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