天気を操るだって。この俺がその部門において負けることはありえない。
何も考えずに読んで
「人には隠しているのだけれどさ、私ね、私の感情で天候が左右されてしまうの」
俺がクラスメートの女子に、相談を持ちかけられた、と思ったら急に突拍子もない話がでてきた。
「お、おう、そうか。落ち着け。大丈夫だ。んなことはない。心配するな。最近、異常気象だけれど、それはお前のせいではない。確かに、人間のせいではある。そして、人間一人一人が気をつけること、反省すべきこと、ではあると思うが、お前1人が悪いわけではない…」
いろいろ気を病むことがあったのだろう。普段は、やんちゃな俺ではあるけれど、人の相談はきちんとのってあげようと、心に決めている。しかし、俺が話し始めたら急に遮られた。
「いや、なんで、あなたも信じてくれないの。あなたならわかってくれると思ったのに。」
え、待てよ。空が薄暗くなってきた。雨の匂いだ。そろそろくる。
まさか、本当なのか。
「焦るな。本当に。落ち着けって」
「もう、いや。なぜみんな、私のことを嘘つき呼ばわりするの。」
「嘘つき呼ばわりはしていないって。」
「これから、きっと豪雨になるわ。信じてくれなかったあなたが、悪いんだから」
「それはないだろう。」
「だって…」
ああ、多分本当の奴だ。めんどくさい。
いや、もうここまできたら開き直ろう。
「では、もう引き返せない。俺の能力を明かしてやろう。俺は雷を操りしものだ」
「うそよ。嘘つき。そんなわけはない」
うんうん、ごめん。流石に嘘。しかし、開き直った俺に恐いものなどない。
「おや、今度はあなたが俺を嘘つき呼ばわりする番ですか」
「ふざけないで。甘い世界じゃないのだから。中二病が何もわからないで、よく言うわ。舐めないで。」
これほど、黒いのは見たことがないと、断定できるぐらい、黒い雲が湧いてきた。
そして、ポツリ、ポツリと
そして、瞬く間に音を鳴らす大粒の大雨へ。
人に信じられない時の感情はこれほどになるのかと感心しながら、そいつごと屋根の下へ移動する。
「おお、そうかそうか。では、見てろよ。
3、2、1、セーノ」
手を振った方向が
ピカ!
「そしてそのまま、よ!」
ゴロゴロゴロゴロ
「こんどは、近くにセーノ」
ピカ!
「すぐに」
ゴロゴロゴロゴロ
「とどめは、そこの避雷針に」
ピカ、ドッシャーン
「うそ、、ほんとなの」
小さく何度も呟いていた。
そして、雨はだんだん弱くなり、雷も止む。
「疑ってごめんなさい。」
雨がすっかり止んで、日差しこそささないが、すっかり雨を感じない空気となった時、やっと納得できたようだ。
「じゃ、じゃあ、私たち、人にない能力を持っている同士として付き合わない。モテてない君にいい条件でしょ。私なりの精一杯の詫びよ。」
「お断りでございます。彼女はいますし、まだ、君を能力者として認めた覚えはございません」
「キィー」
声に出ちゃっている。
「では、能力者としての助言ですが、豪雨が来ますよ。早く帰るのをお勧めしますよ」
ちゃんと、豪雨がきました。
家まで、徒歩、残り50分だというのに…
まあ、雨には強いのでね。大丈夫。
主人公の彼女 「とうとう、浮気かと思って眺めていたら、とんでもないもの見聞きしちゃったんだけど」
今作の主人公 「浮気するはずないじゃないか。とんでもない。」
主人公の彼女 「本当に雷操れるの?」
今作の主人公 「見事なスルー。は置いておいて、んなわけないじゃないか。」
主人公の彼女 「じゃあ、どうしてあんなぴったしに?」
今作の主人公 「ほら、中1の頃から、信号機が青になる瞬間に「エィ!」っていう遊びをはじめて、早2年。極めたからね。」
主人公の彼女 「ふーん(何と言えばいいのかわからない。)」