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67話 暫定元凶

幻の壁の向こう側、階段状に積み上げられた岩の頂上では

「遠隔操作ユニット」が数体巡回し、間断なく幻の壁を見張り続けていた


「ピピッ…シンニュウシャ…シンニュウシャ…」


壁からぬっと出たギュスターヴにすぐさま反応し、周囲の他のユニットに

密かに信号を送る。発見地点から死角となる位置を自動算出し

その近くにいるユニットが予告も躊躇もなく剣で突き刺す為、突撃した


「…そこだ!」


だがギュスターヴは、あらかじめ抜いておいた剣を正確に当てた

相手の勢いを利用する形となり、遠隔操作ユニットは真っ二つになった


「ピピッ…」


それに動じることなく、今度は3体のユニットが突っ込んできた


「せいっ! はぁっ! フン!」


しかしギュスターヴは臆する事もなく迎撃して見せた

早くも4体の残骸が彼の足元に転がる

後から来たアユミがそれを見て驚嘆の声を上げる


「すごいですギュスターヴさん!」

「なぁに、相手がどう来るか分かっていればこのくらい…と、今度はまずいかもな」


見ると、遠隔操作ユニットが方々から集まって数えきれない程になっていた

流石に100体以上から同時に攻められたらひとたまりもない。しかし

連携を重視しようとするあまり一塊になっていたのが運の尽き


「フーーッ!!」


カラドボルグが毛を逆立て、ユニットの群れに向けて雷を連続発射した

次々に誘電して墜落し、黒焦げの山が出来上がる

だが1体難を逃れたユニットがいた


「ピピッ…イレギュラー…イレギュラー…」


北へ逃げようとした所を、とっさにアユミが足元の石を拾って「投擲」した

カーン、という小気味の良い音がして、ユニットはボトリと落ちた


「流石ニャ」

「うむ…アユミ、妙な人形はこれで全部か?」

「いえ、エルフは半分ずつ順に使っているようでした」

「そうか…その様子じゃ俺達が侵入した事は隠しきれんだろうな」


***


その場は安全と判断したアユミ達は、積み上げられた岩を登り切った

ギュスターヴは雑嚢袋から遠眼鏡を取り出して、北の様子を伺う


「ゴブリン…それからゴキブリ…多いな、どう突破するか…」


アユミはその傍に寄って提言する


「ゴブリンとゴキブリは敵対関係にあるらしく、ここでは縄張り争いを

繰り広げています。それを利用すれば戦闘は避けられるかもしれません」

「…そのようだな、道は分かるか?」

「はい、こっちです」


アユミとギュスターヴは屈みながら進み、カラドボルグはその横を普通に歩く


「ニャフフ…四本足でいかないのかニャ~?」

「無茶言うな…」


軽口を叩きながらも、ゴブリンと巨大ゴキブリが争っている場所を避けて進む

やがて巨大ゴキブリだけが群れている場所を見つけるとギュスターヴは

そのまま静かに進んでいった


「えっ…だ、大丈夫なんですか?」

「あぁ、静かにな…」


巨大ゴキブリは傍を通るアユミ達には見向きもせずに、何かを貪っていた


「大丈夫だったろう?」

「はい…」

「ワンダラ下水道で、奴らの習性は把握済みだ…さ、行くぞ」


後は何事も無く、件のモノリスへ真っすぐ向かっていった


***


モノリスにいるエルフは焦りつつも「遠隔操作ユニット」の準備を進める


「ありえん…信じがたい事だ。あの壁を超えてくる人間は珍しくはない…だが

あの不意打ちの仕組みに完璧に対応されるなど…! しかも傍にいたのは

カラドボルグとアユミ…確かに死んだはず…何故だ! 今まで経験したことがない

何かが起こっている…こんな事で計画を邪魔されてなるものか…」


***


モノリスへたどり着いたアユミ達は、その前をうろつく1人の人影を発見する

一見すると人間のように見えるが、同じ服装だったのでアユミとカラドボルグには

エルフだと分かった。周囲に遠隔操作ユニットが見当たらない中

まずギュスターヴが前に出て応対する


「お前は何者だ? ここで何をしている?」

「いやぁ…こんな所に人間とは珍しい、私はインテグル博士、考古学の研究に

携わっている者です」

「こんな危険なところに1人でか?」

「ハハハ…いやいや、もちろん仲間がいますよ…」


2人が話している間に、アユミは砂利を拾ってインテグル博士の顔に投げつけた


「ブアッ!?」

「耳が…!」


ヴァニアも使っていた「偽装薬」が衝撃で剥げ、特徴的な耳があらわになった


「ギュスターヴさん、こいつが元凶のエルフです」

「おのれ…!」


インテグル博士は顔を押さえながらモノリス側へ移動し、指を鳴らして合図を送る

するとその中から遠隔操作ユニットが大量に現れた


「生かして帰すな!!」


命令を受けたユニット達が次々に突撃してくる


「フーーッ!!」


だがしかし、電撃と投擲で残らず撃ち落されていき、瞬間的に博士の守りが無くなる

その隙をついてギュスターヴが突撃し、剣で強烈な「平打ち」を脇腹に当てた


「食らえ!」

「グハァッ!! …!? グッ…何故…まさか…」


博士は苦悶の後、一瞬呆けた顔になるが、自分が何故「生かされた」のかを瞬時に考察し

ニヤリと笑った


「クックックッ…足止めしろ!」

「ちっ! 浅かったか!」


博士は脇腹を押さえながらモノリスの中へ逃げ込み、追おうとしたギュスターヴとの間に

残っていた遠隔操作ユニットが割って入る


「こいつらを全滅させんといかんか…援護を頼むぞ!」

「はい!」

「ニャ!」


***


「ハァ…ハァ…あれは刃を立ててれば確実に死んでいた…だがそうしなかった

私が死んだらどうなるかを知っている行動だ。どこで知ったかは分からんが…

情報源なぞ今はどうでもいい、ここで確実に…殺す!」


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