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35話 おしおき

日の入り前、スーザンを担ぎ上げ、巣穴から出たアユミ達は

男を縛り上げていたギュスターヴと合流した


「あ、ギュスターヴさん…」

「アユミ…いろいろ言いたいことはあるが、今は一味の捕縛が先だ。すぐ応援を呼んでくるから

見張っててくれ」

「はい」


ギュスターヴは北門へ走り、アユミとカラドボルグ、気絶した男とスーザンが残された

アユミとカラドボルグは木陰に座り、見張りを開始する


「とりあえず…ギュスターヴさんに見張りを任されたって事は…安心して良いのかな?」

「ニャフフ…吾輩がギュスターヴに根回ししてたお陰…ニャ、ニャにしてるニャ」

「え? あ、うーん…」


アユミは無意識にカラドボルグの体を撫でていた。先程火に照らされていた時とは違い

とても可愛く映っていた


「矢が当たったところ…傷とかない?」

「鋳鉄ならともかく、折り返し鍛錬した今はヘナチョコ矢なんて刺さらニャい…ニャ」

「そっかぁ…良かった」


言いながらアユミはカラドボルグに密着し、両手で撫でまわした。流石に嫌がって

立ち上がり、アユミと距離をとった


「や、やめるのニャア…」

「あっ…ご、ごめん」

「何ニャ~? 吾輩の魅力にメロメロになったニャ~?」

「うん、可愛いよカラドボルグ…」

「ニャ…調子狂うニャア…」


また近くに座ったので、今度はしつこくしないように、片手でやさしく撫でる

やがて、ギュスターヴが応援を連れてやってきた


「よーし、突入!」


ギルド職員達が大挙して巣穴へ向かっていった。それを見届けたギュスターヴは

アユミとカラドボルグの肩に手を置き


「さーて、運ぶのを手伝ってもらうぜ~その後…おはなし、しようか」

「…はい」

「…ニャ」


ギュスターヴは縛った男を肩にかけ、アユミはスーザンをおぶってギルドへ戻っていった


***


ギルド内の一角でアユミとスーザンが床に正座し、カラドボルグはその横に普通に座り

立っているギュスターヴとジェニファーとリューツが厳しい目を向けている

まず、ギュスターヴが話を始めた


「アユミにカラドボルグ…今回はうまくいったから良いが、一歩間違えれば死者が出るぞ

今度からはちゃんと相談をしてだな…」

「すみませんでした」


アユミはそのまま頭を下げる、土下座の姿勢だ


「ニャ…人間の法を犯してニャいし、誰も死んでニャ…ブニャッ!」

「すみませんでした」


アユミはカラドボルグの頭を床に押し付ける

次にリューツが口を開く


「ハァ…アユミさんは掲示板の依頼だけをこなして下されば…ちゃんと真面目にできるのですから

あとそこの黒猫…カラドボルグさんの手綱をしっかり握って下されば…」

「ニュフフ…吾輩をしつけようニャんて笑止…ブニャッ!」

「なるべく頑張ります」


「まぁ、アユミの行動はまだ「冒険者」として理解できなくはないわ…問題はスーザンの方よ」

「は、はひっ…」

「指名手配された男の言うことを信じて、アユミの事をよく調べもせずに指名手配するなんて

職権乱用と取られても仕方ない問題よ?」


スーザンは震えて涙目になる。アユミは顔を上げて口を出した


「待ってください、今回の僕の行動が強盗傷害と取られても仕方ないものでしたし

新人さんなんですから許してあげてください」


聞いたスーザンは驚愕の表情で固まり、立っている3人は溜息をつく


「あのですねアユミさん、これはギルド職員の教育方針の問題で…」

「スーザンさんは正義感に駆られて、ちょっと先走ってしまっただけですよ」

「ハァ…アユミはこう言う奴だよ…」


アユミにとってスーザンは他人事とは思えなかった。歩見も他人の名前を覚えることができずに

トラブルに見舞われてきたからだ


「要は…スーザンさんが指名手配された連中の顔を全員覚えれば解決します!」

「確かに…そうだな」

「それじゃあ…スーザンはイチからお勉強し直しましょうね♪」

「ひゃ、ひゃいっ!」


あえて満面の作り笑いをしたジェニファーは、スーザンを連れて建物奥へと消えていった


「全く、アユミは優しいニャー」

「カラドボルグは悔い改めて?」

「厳しいニャア…」


「それでギュスターヴさん、他に何かありますか?」

「ん? いや、俺の方からは無いが…」

「では僕はこれで失礼…」

「お待ちください」


リューツが呼び止めてきた


「ギルドマスターは、なあなあで済ませるつもりのようですが、そういうわけにはいきません

いかに新規採用した職員とはいえ、ギルドが誤った情報を発信した事に変わりありませんから

これにより被害をこうむったアユミさんは訴えることも…」

「訴えません」


アユミは即答した


「僕らが不届き者達の持ち物を、身ぐるみ剥いで持ってくるという非常識な行動をしたから

こういう事になったのですから…それに、指名手配は取り下げるんですよね?」

「え、ええ…それはすぐに」

「なら、訴える必要がありません」

「…後で、やっぱり訴えると言われても困りますよ? 本当にいいのですね?」


アユミはリューツの目をまっすぐ見て


「僕は、冒険者ギルドを全面的に信用しています」

「わ、わかりました」


一瞬間をおいて、アユミは頬を染め


「で、では失礼しまひゅ。いこー」


アユミはカラドボルグを連れ、ナンバ歩きでぎこちなく外に出て行った


「はぁ…アユミさんはなんと言うか…」

「都合のいい女か?」

「うっ…」

「冗談だ。リューツは今まで通りアユミに接すればいい、誰にもエコ贔屓しない仕事ぶりで

俺も安心して受付を任せられるんだからな」

「…そう言うなら、ギュスターヴさんは、もっとギルドマスターらしく振舞って下さい」

「ハハハ…すまんな…」


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