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33話 猫が仕込み

正午過ぎ、公衆浴場に着き、ジェニファーが2人分の料金を支払って服を脱いだところで

アユミも姿を現す。今脱衣所には他の人は居なかったので急に現れても混乱は無い


浴室には1人先客がいた、アユミに下水道掃除の日だけの暗黙の了解を教えてくれた

ベテランの風格漂う女性冒険者らしき人だ


「あら…ジェニファーじゃない、こんな時間に珍しい…」

「ベスは、相変わらず風呂好きなのね」

「…ちょっと待って、その娘を洗いに来たのね? 手伝うわよ」

「それは助かるわ…今日は石鹸もあるわよ」

「まぁ! いいわねぇ~♪」

「あ…えっと…」


そして大人の女性2人に裸でもみくちゃにされる…本来は世の男性達が羨む体験なのだろうが

アユミは可愛らしい嬌声を沢山上げながら洗われ、恥ずかしさと気持ちよさを同時に体験していた


***


洗い終わって3人揃って湯船に浸かる

2人は自前の布で髪を纏めていたがアユミのは無く、足まで届く長さなので

マフラーみたいに首に巻いて、浅目に浸かることにした

火傷無効だが、先程の体験で顔は赤くなっていた


「やっぱり勇者の力って凄いわね…冒険者は生傷が絶えないはずなのにお肌スベスベ…」

「はうぅ…」

「へぇ…そうだったのね。私はベス、冒険者ギルドに収められた薬草を加工する薬師よ」

「あ…僕はアユミと言います」

「よろしくね。まぁ…最近は薬草を持ち込む冒険者は少なくて、ヒマだけどね」


「あれ…? 土地毎にみかじめ料が発生して、独占して納品するグループがあるものとばかり…」

「それ…本当?」

「待って…ギルドじゃそんなの認めていないわ! それがまかり通ったら誰も薬草を

納めてくれなくなってしまうもの…」

「えぇ…? みかじめ料払えないから取った薬草全部捨てちゃいましたよ…勿体ない…」


みかじめ料を直接請求しに来たのは、あのトラ男だった。もう少し早く知れれば

安定的に報酬を得られていたかもしれないのに…


「こんな事聞いたら…風呂入ってる場合じゃないわ! アユミ、行くわよ!」

「あ、はい」

「ジェニファー、頑張りすぎないようにね。スーザンという後輩ができたんだから…」

「フフ…わかってるわ、大丈夫よ」


アユミは一礼してから浴室を出た。体をふいた後、鍼灸ワンピースとストラップを着け

髪が乾いていないからバレッタは手に持ち、既に着替え終わったジェニファーと共に

公衆浴場を後にした


***


「あの娘が「白い痴幼女」アユミ…全く、噂なんてアテにならないわね…」


***


アユミ達がギルドに戻って来ると、屋外のスイングドアの足元に剣形態のカラドボルグがいた

アユミの姿を見つけると、浮かんで近づいてきた


「オーウ、戻って来たニャ。首尾はどう…ニャ?」


ジェニファーがさっさと中に入っていった


「どうしたんニャ?」

「…僕らも中に入ろう」


***


ジェニファーがリューツと一緒に紙を見ながら唸っていた


「…確かに2か月程前から納品数が落ちていましたが…そういう時期だとばかり思っていました」

「私もよ、安定して薬草を得るには採集チームとか作った方がいいのかしら…?」


アユミも2人に近づく


「それは次回の会議で提言するとして…とりあえず、みかじめ料など無い事を掲示板に載せて

周知させるのを優先しましょう。それにしても…アユミさん」

「はい?」

「こんな脅迫を受けたのなら早く言って下さいよ…」


既に言っているが、もう1週間以上前の事だ


「いえ…僕がここにきてまだ間もなかったじゃないですか、僕が知らないだけで

そういう取り決めがあっても不思議じゃないと思って…」

「ニャーるほど…ま、これからは吾輩が付いてるから心配いらないニャ」

「待ってください、黒猫…さん」


リューツがカラドボルグに手の平を向けて話を切り出す


「ニャ?」

「アユミさんに変な事を吹き込んでギルドを引っ掻き回すのはやめていただきたい」

「ニャフ…吾輩の「釣り」は功を奏したニャ、今日の夕方あたりを楽しみに待ってるニャー」

「ハァ…貴方が不祥事を起こしたらアユミさんの責任になるのですよ?」

「ギルドに害する行為はしてないニャ」


「ねぇリューツ、さっきから何の話をしているの?」

「アユミさんの寝込みを襲おうとした連中の身ぐるみを剥いで「落とし物」と宣って

持ってきたのです…似顔絵付きで…9人分も」

「まぁ…」

「アユミは可愛いから、透明にならずにそこらで寝てるだけで悪人共がホイホイ釣れるニャ

…それももうじき終わるニャ、今日の夕方あたりに仕込みの種明かしがされるニャ」


「…ハァ~~……そこまで言うなら…わかりました。そうそう、井戸の清掃依頼の計算が

終わりましたので、報酬としてアユミさんに35000ゴールドが支払われます」

「ありがとうございます」

「アユミさん、なるべくこうした普通の仕事をするようにして下さいね?」

「あ、はい…」


「では、私達はここで解散しましょう」

「はい、ジェニファーさん、ありがとうございました」

「それじゃアユミ、飯食いながら作戦会議ニャ」

「う、うん…」


ジェニファー達と別れ、冒険者ギルド内にある定食屋で400ゴールドの「肉野菜炒め」を注文し

食べながら小声で会話する。それはカラドボルグが不届き者の偵察をし、ギュスターヴに根回しをし

不届き者グループの一斉検挙を行うという…あのゴブリンの巣穴を舞台にして

ついでに鍛冶も絡め、叩く音でも釣るという策はカラドボルグらしい


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