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19話 とにかく拷問にかける

バッシャーン!


大量の水を頭から被せられてアユミは目を覚ます


「ハッ!? はぁ…はぁ…」


薄暗い地下室、持ち金と木の札は没収され、両手両足が鎖に繋がれていた

目の前にはあの守衛の男がいる


「残念だったなぁ魔族…どんなに変装が得意でも「魔看破の水晶」で

貴様が魔族な事はお見通しよぉ! 魔法もその鎖には通じんぞ!」


そう言うと男は水晶玉を見せつける


「そ、それは一体…あぶっ!」


突然短鞭で叩かれた


「質問は許していない…が、特別に教えてやろう。この水晶に近寄った魔族の魔力に干渉し

意思に関係なく赤い光を出させるのだ…」


言われてみると、先程からうっすらと赤い光が体から出続けている


「魔族の魔力は持ってます…でも僕は魔族じゃありません!」

「そんな詭弁が通じるかァ!」


短鞭で叩き続けながら、さらに言う


「人間は人間の魔力だけ! 魔族は魔族の魔力だけしか持てない!

ガキでも知ってる事だ!」

「あぐぅ…」


ギュスターヴがヴァニアに向けて言った事が思い起こされる


「さぁ言え! 何の目的で人間の首都まで来た!」

「うっ…ま、魔族の新たな脅威が迫ってることを伝えに…あぐっ!」

「そりゃ貴様がここまで来れてるんだから脅威だよなぁ!?

そんな事を聞いてるんじゃねーんだよ!」

「うぐっ…」


「どうせ何かの破壊工作を企んでいたんだろう…貴様だけとは思えんなぁ!?

仲間はどこにいる!」

「な…仲間…冒険者ギルドマスターのギュスターヴさんと一緒に…」

「はぁ!? 冒険者ギルドのマスターだぁ!? …ハッハーン、誘惑か洗脳の術だな

油断したか知らんがこんなガキ相手にだらしねぇ…いや、貴様の年齢はいくつだ?」

「25歳…です」

「なーるほどな! ガキなのは見た目だけってわけだ! こいつはケッサクだぁ!」

「…」


成長促進剤の影響で魔力を得て、一旦5歳児になって、天使の力で10歳児になった…

この男に限らず、誰も信じそうにない話だ


「こんな魔族が入り込んでるんじゃ冒険者ギルドも終わりだな…ククク

王に進言するとしよう」

「まって! ギルドは悪くない!」

「あぁ!? よくもそんなことをヌケヌケと! 貴様が! 人間の! 心を!

弄んだ! んだろう! がぁ!」


短鞭で繰り返し叩き続けながら、さらに言う


「貴様らさえいなければ、人間が苦しみ、死んでいく事も無かった!」


焼きごてを取り出し、アユミの脇腹に押し当てながら言う


「この! 生き物のクズめ! 人権のない野蛮種族め!」


紺のワンピースは無残に焼き切れる。しかし、火傷無効ゆえに肌は焼けていない

さらに「健康な肉体」により鞭打たれた箇所の痣がみるみる治癒していく

その光景を見て恐怖を覚えたのか、男から嘲る余裕が消え、さらに殴り続ける


「この…化け物めぇ! 貴様はこの世に存在しちゃいけないんだよォ!

返せよォ! 親父を! 兄貴を! 俺の家族をォォ!!」


一頻り殴った後、剣を取り出してアユミの腹に突き刺した


「キィャアアア!!」

「それだ! その叫びが聞きたかったんだよ! 血も出るし…イイなぁ…アハハハハ!」

「がっ…ガフッ」


アユミは涙を流すが、構わずさらに力を入れ、完全に貫通した


「人間が受けた痛みを…そっくりそのまま返してやるぜぇ!」

「あぐっ…やめっ…あぐうっ」


男は剣を突き刺したままグリグリと動かす、赤い血がドクドクと流れ出していく

「健康な肉体」で治癒し、また抉られ、治癒を繰り返す


***


「フハハ…魔族虐めは楽しいなァ!」

「うっ…うっ…」


あれから30分は経っただろうか、剣を刺されたまま短鞭で叩かれ続け

声を上げる元気もない。治癒も間に合わず血が流れ続け、痣もできてきた


そんな時、看守らしき男がやってきた


「おぅおぅ、派手にやってるじゃねぇか…なんで変装が解けないんだ?」

「そんだけこいつが高位の魔族って事だろ…で、何の用だ?」

「処刑場の手配は済んだ…あと、冒険者ギルドマスターが面会を求めに来ているのだが」

「あぁ? そういやこいつが仲間とか言ってたな…追い返しとけ」


話しているとギュスターヴが乱入してきた


「アユミ! 大丈夫か!?」

「なっ、テメェ! こっちくんじゃねぇ!」


すぐさま看守達に取り押さえられる。さすがに訓練を受けた兵2人が相手では

ギュスターヴも分が悪い。アユミは力なく頷くくらいしかできない


「お前ら…なんてことしやがる! 早く解放しろ!」

「うるさい! この「魔看破の水晶」でこいつが魔族なのは確認済みだ!

貴様こそ、こんな魔族に誘惑されて人間として恥ずかしくないのか!?」

「なっ…魔族だと!? 本当なのかアユミ!?」

「もう…わから…ない…人間か…どうか…」


「アユミ…くっ! なら俺が教えてやる! お前が魔族なら

角があって耳がとがってて、肌も青くて青い血が出ているはずなんだよ!

アユミ! お前は人間だ!」

「ギュス…ターヴ…さん…」


今までとは別種の涙が流れる


「この街の教会にも「看破の水晶」はある! 持ってくるから

それまで持ちこたえろ!」

「こいつは洗脳されている! 好きにさせるな! ひっとらえろ!」

「邪魔だ! どけぇ!」


ギュスターヴと看守が部屋から駆け出していき、守衛の男と

剣を刺されたままのアユミが残された


「全く…貴様の洗脳能力には恐れ入るぜ…っと!」


両手の枷が、鎖の長い物に付け替えられ、足の枷が外されてから剣が抜かれた

血はひとしきり流れた後止まったが、もう痣は治らなくなっていた


バッシャーン!


「ぐっ、ううっ…」


再び大量の水を頭から被せられ、アユミから反抗する気力を完全に奪い去った


「来い! 魔族に相応しい舞台を用意してある…」


手枷を引っ張られ、地下室を出る。そこは城の外壁のすぐ外に設けられている

拷問部屋だったようだ。時刻は日の入り最中、エンゼの大通りまで連れてこられる


***


薄暗い大通りの両方の沿道は市民達で埋め尽くされている、道の中央を

まず守衛の男が鎖を持って先頭を歩き、5メートル後をアユミが歩き、さらに5メートル後ろを

3人の看守が見張っている


「善良なる市民達よ! 知っての通り魔族との闘いは激しさを増している!

だが恐れることはない! 今宵、魔族の企みを暴き、首謀者を捕縛した!

さぁ! そなた達の忠誠心を示せ!」


守衛の男が叫ぶとともに、アユミにむけて沿道から小石が連続して投げられ始めた

薄暗いので、遠目で人間か魔族かの判別はつかない状況だったが、石は投げられ続ける

そんな中をアユミは引っ張られていく…罵声は少ない


***


街の中央広場まで引かれて、常設された磔台までやってきた


「こ…子供…?」


四方には篝火があり、アユミの姿が照らされると、投石が止み周囲がざわつき始めた


「見た目に惑わされるな! こんなナリだが25歳だ! 魔族の成長が遅いのは

皆も知っているだろう! 「魔看破の水晶」で魔族であるとハッキリしている!

騙されるんじゃない!」


そう言うと守衛の男は鎖を装置に組みこみ、アユミを吊り上げる

柱を倒さずに、手枷を付けたまま自動的に柱上部に引き上げられて固定される仕組みだった


乾いた青みがかった血が所々にべったりと付いている…多くの魔族達が

この効率化された磔台に掛けられてきたのだろう

やがて足にも鎖が巻かれ、看守3人が槍を持って並んだ


「待てっ! やめろー!!」

「殺せ!!」


遠くからのギュスターヴの叫び声もむなしく、3本の槍がアユミの

両方の肺に突き刺さる。「赤い血」が勢いよく吹き出し

周囲から悲鳴があがる


「キャアア!! 赤い血…人間だわ!!」

「あんな子供になんて惨いことを!!」

「お、おい…魔族が死ぬショーじゃなかったのか…?」


遅れてギュスターヴと聖職者らしき女性が駆け寄る


「アユミ! お前は魔族じゃなく人間だ! そうだろ!?」


ギュスターヴは「看破の水晶」を掲げながら叫ぶ


「は…い…ゴフッ…」


水晶は一瞬青く光ったが、アユミの吐いた血で真っ赤に塗られた

その様子は至近距離で見ていた者にしかわからない

守衛の男は一瞬目を丸くするが、血濡れの「看破の水晶」を取り上げて叫ぶ


「見よ! 水晶は赤くなった! つまり人間ではなく魔族だったのだ!

冒険者ギルドも魔族に加担していた! 正義は我らに有りイィィ!」

「ふざけるな! しっかりしろアユミィー!」

「おお神よ! 愚かな我らを許したまえ!」


水晶の青い光を見て動揺する看守達をギュスターヴが押しのけ、聖職者が鎖を外しておろす

しかしアユミはもはや虫の息、槍が抜けてさらに出血する


「ご…め…ん…」


そう言うと、アユミは力尽き、目を閉じた


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