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12話 冒険者ギルドへようこそ

建物正面にあるスイングドアを押して「冒険者ギルド」の中に入る


建物中央に巨大な木の柱があり、その周囲を角ばった木製受付カウンターが囲む

ドアから受付カウンターの間以外の場所には6人用程の木製円卓と木製丸椅子が点在している

受付カウンターのさらに向こう側には料理人がおり、定食屋、酒場を兼ねているとわかる

右手には2階に続く直階段があり、階段傍の壁には大きな掲示板が設置されている


今は日の入りの時間帯だからか、掲示板や受付カウンターの前に並んでいる人はおらず

少人数が円卓で食事をしているだけである。受付カウンターの中には

ショートヘアの男性職員が1人いたので、アユミは彼に近付いて話しかけた

…周囲から好奇の目で見られている気がして委縮する


「いらっしゃいませ、何の御用でしょうか?」

「あのっ…冒険者になりたいのですがっ」

「…失礼ですが、冒険者がどのようなものかご存じなのですか?」

「…いいえ」


男性職員はため息をつき、冊子を取り出して説明を始めた


「では説明いたします。基本的には殺人犯でなければ誰でも加入可能です

加入すると人間の街への入場審査が簡略化され、あちらの掲示板に載ってある

依頼を受注する権利が与えられます。しかし国営なので人間の危機の際には

徴兵の対象になる場合があります。300万ゴールド支払えば免除されますが」

「300万…」

「戦闘訓練などの講習会はありません。武具が支給されることもありません

冒険者同士の揉め事には当事者間で解決してもらいます。しかし

ギルドの評判を落とすような行為には人間の法が適用されます

また、軽犯罪者の更生施設も兼ねているので荒くれ者が多い傾向にあります

総じて…あなたのような子供には薦められないギルドと思われます」


「戦闘以外の依頼はありますか…?」

「…薬草採取依頼なら常設でありますが、完全出来高制で1本70ゴールドで買い取ります

あとはたまに下水道掃除が受けられますが…危険が無くはないですよ?」

「何でも屋みたいな感じですね。受ける依頼は自分が選べるんですか?」

「危険だったり達成困難な時は警告をしますが、基本的には自由に選べます」


「じゃあ加入します」

「…加入審査の手数料として全額前金で2000ゴールドかかります。本当に加入しますか?」

「はい」

「…2000ゴールド、確かに。では審査しましょう」


そう言うと男性職員はカウンター下から、台座に乗った水晶玉を取り出した


「これは「看破の水晶」、神の力によって嘘か真かを判断できる器具です

嘘なら赤く光り、真なら青く光り、嘘ではないが真でもないなら黄色く光ります」

「はぁ…」

「では質問です…あなたは殺人を犯しましたか?」

「う…」


あの3人の盗人達が脳裏に浮かぶ


「…殺したのが罪人なら、罪には問われませんよ」

「…犯してません」


水晶が青く光った


「次の質問です…あなたは窃盗を犯しましたか? たとえ罪人から奪い取ったものでも

元の持ち主に返していないなら罪となります」

「はい、罪人から…盗みました…」


水晶は変わらず青い光を放ち続けている


「あの…やっぱりダメなんですか…?」

「いえ、脛に傷持つ人が来られるのは珍しいことではありません

この場で全ての盗品を提出すれば不問となります。家にあるなら

取りに戻っていただきますが」

「あー…全部持ってます」

「では、カウンターの上に置いて下さい」


アユミは、全ての荷物が入った背負い袋と外套を置いてみた

水晶の光が黄色く変わっていく


「まだ隠し持っているようですね? 全部出して下さい」

「…ええい!」


アユミは物凄く渋い顔になったが、やがて意を決し

黄色いシャツとズボンも脱いで全裸になり、それらをカウンターの上に置いた

周囲で見ていた者がどよめく、だがまだ水晶の光は黄色いままだった


「うぅ…」

「…本当に家に無いのですか?」


男性職員が怪訝な表情で見つめる。全裸のアユミを見ても特に動揺はない

正確には、家「が」無いのだがそんな指摘は無意味である

アユミは涙目になりながらも、カウンターの上に飛び乗った

…その瞬間、水晶の光が青く変わった


「まさかとは思いますが…子宮か大腸に隠してあるなんてことは…」

「ありません!!」


光は青のまま変わらず、アユミの顔だけが赤くなっていった


「あぁあの…盗んだお金で食事してもダメだったとか…?」

「いえ、さすがにそこまでは…ギルドマスターに判断を仰ぎに行きますので

しばしお待ちください」

「え? あの…」


男性職員はアユミを置いたまま2階に上がっていった

魔族領ならともかく、なんで人間の街で裸で放置されねばならないのか

もはや何もかもどうでもよくなってきてアユミの目が死んでいく…その時


「なぁ君! ギルドに入りたいんだろ!?」


周りで見ていた1人のチャラ男が話しかけてきた

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