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【第2話】神からのギフト

「か、神からのギフト?」

「そうだ」

「やはりそうでしたか」

 と、長男のルティ兄様。

 なんだろうそれ? 初耳だよ?

「……その、神からのギフトというのは、どういうものなんですか?」

「…………うん? 知らないのかい?」

 知っていて当たり前のことなの? お母様もルティ兄様もセーズ兄様も、お父様までポカンとしている。

「は、はい。もしかして、知らないとダメなことですか?」

 お父様までポカンとしているものだから、急に不安になった。

「父上、ギフト保有者は神からのギフトに関することを知らないのでは?」

「ルティーノ、なぜそう思うんだい?」

「少し前に古い文献を読んでいて見つけました。まさか事実だとは思っていませんでしたが」

「そうか……」

 お父様はルティ兄様とそんな話をしていた。

 そんなときだった。

 ぐぅ。

「「「…………」」」

 ごめんなさい! 私のお腹が鳴りました! は、恥ずかしい……!

 きっと今、私の顔は真っ赤になっているだろう。

「ユーリャ、とりあえず朝食をとろうか」

 お父様が微笑ましいものを見る顔で言った。

「っはい!」

「イノーティア、ルティーノ、セーズ、それで良いかい?」

「ふふ、良い考えですわね」

 お母様! 笑わないでくださいー!

「クスッ、そうですね」

 ルティ兄様まで!

「っく、ふ、さ、賛成です」

 セーズ兄様、笑いをこらえるぐらいならいっそ笑ってください!

 こうしてやっと朝ご飯を食べることになった。ちなみに、イノーティアというのはこの国の王妃、つまりお母様のことである。


「さあ、こちらへどうぞ。お姫様」

 金色の髪に空色の瞳で超絶美少年なルティ兄様がエスコートしてくれた。超絶美少年の最大の微笑み、破壊力がすごい。

 話は変わるけど、どうしてお姫様なんだろう? よし、聞いてみよう!

「どうして『お姫様』なんですか?」

「もしかして今日が何の日なのか忘れた?」

「……あ! そうでした! 私の誕生日でした!」

 ごめんなさい! 今まで忘れていました!

「やっぱり忘れていたね?」

「あはは……」

 ルティ兄様は苦笑していた。

「でも、思い出してくれたのならよかった」

 思い出したら全て良し? ですね!

「それで、どうしてユーリャのことをお姫様と言ったのか、だったよね?」

「そうです!」

「それはもちろん、今日はユーリャが主役だからだよ」

「今日は私が主役……?」

「うん、ユーリャが主役。今日は数えられないぐらい祝われると思うよ。もちろん私からも。ユーリャ、お誕生日おめでとう!」

 それを聞いたとき、なぜか、誰かに祝われるのなんていつぶりだろうと思った。すごく、嬉しい。

「っルティ兄様! ありがとうございます!」

 ルティ兄様に抱きついて、心からの感謝を伝えた。瞳から感情が溢れてしまいそうだったことはひみつだ。

「おっと、私の妹は甘えん坊だな。ふふっ」

 落ち着くまでそうさせてもらった。

 お父様、お母様、セーズ兄様は、私とルティ兄様を見守ってくれていたようだ。

「さあ、朝食をいただこう」

 お父様の合図で朝ご飯の時間がはじまった。

「美味しい?」

 セーズ兄様に聞かれた。

「おいしいです! 特にこのオムレツが!」

「そう、じゃあ僕のもあげる」

 気持ちは嬉しい! だけど、もらったらこのおいしいオムレツをセーズ兄様が食べられなくなってしまう! どうしよう?

 あ! そうだ!

「そうしたらセーズ兄様の分がなくなってしまいませんか? 私はセーズ兄様にもこのおいしいオムレツを食べてほしいです!」

「でも僕はユーリャが美味しそうに食べる様子が見たい」

「でしたら、半分だけもらってもいいですか?」

「……いいよ。確かにそれならユーリャの美味しそうに食べる様子も見られるし、僕もユーリャおすすめのオムレツが食べられる。はい、半分どうぞ」

「ありがとうございます!」


「朝食も食べたところで、神からのギフトについての話をしよう」

「お願いします」

「神からのギフトというのはーーーー」

 神からのギフトというのは、生まれたときに前世の記憶があることや、異世界や別の時代から転移してくる運命のこと。神からのギフトを持っている人のことをギフト保有者という。今この世界にいるギフト保有者は片手で数えられるほど。もちろんフォーレ王国には私以外いない。ギフト保有者については、詳しい情報がないらしい。

 そして、ギフト保有者は神からなんらかのことを制限されているといわれている。ある人は視力、ある人は魔法を使うこと、私はおそらく記憶だろうと言われた。

 ギフト保有者以外は神からのギフトに関することを生まれたときからなぜか知っているそう。だからあのとき不思議に思われたのか。

「ーーーーというのが神からのギフトの概要だ。何か質問はあるかい?」

「うーん? ……あります! ギフト保有者はそのギフトを悪用したりはしないんですか?」

「良い質問だね。神からのギフトという名だけあって、神がギフトを誰に渡すか選んでいるといわれている。だからか、今までギフトを悪用した者はいないんだ」

「そうなんですね。ありがとうございます」

 なんというか、謎が多い。私がどうして記憶を制限されているのかも気になる。

「他に質問はないかな?」

 他にも気になることはあるけど、質問をしたらまた考え過ぎてしまうだろうからいいかな。

「特にありません」

「そうか。今日、ユーリャが前世の人格を持っていることについて公言する。だから、今後は子どものふりはしなくて良いよ」

「……! わかりました」

 突然大人みたいな話し方をしたらレノアとアルーツィたち驚くよね。まあ、なるようになるか!

「ふふ、お話は終わったかしら?」

「ああ、終わったよ」

「それでは、ユーリャ。今日はあなたの誕生日なのよ。今から数えられないほど祝われるわ。さあ、準備はいい?」

「は、はい!」

 数えられないほどってどのくらいですか⁈

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