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「何かいい方法でもあるのかい?」
「・・・あるんだけど、ハリスが危険かも」
「どういうこと?」
「魔法の調節とかコントロールとかが出来ないんだよ。だからハリスに攻撃をしちゃうかもしれない」
「そんなことか。心配してくれるのはありがたいけど、自分の身くらい自分で守れる。だから安心して魔法を使うといい」
「・・・分かった。死んでも知らないからな。・・・草魔法【草操作】!」
周囲にある木々を自分達から遠ざけるようにイメージをして魔力を込めた。
しかし、俺の想定とは真逆のことが起きてしまった。
「・・・ん?」
「・・・ゼノア。・・・どうして周りの木が俺たちに集まってくるんだ?」
「・・・俺も知りたい」
「下手すぎるだろ! 風魔法【飛翔】」
「わぁあ!」
半径10メートル以内にあった木々が、俺を締め付けるように移動してきた。
空にいるハリスは心配そうに眺めていた。
「大丈夫かい・・・?」
「・・・助けて」
ハリスが火魔法で丁寧に木を焼いてくれたので、無事に助かりました。自分でやっといて助かったっていうのもどうかと思うが。
「ゼノアの魔法には驚かされた。草魔法が使えることもそうだが、何より範囲が広すぎる」
見渡すと不自然に木がなく、その中心には巨木が立っていた。
「そして、魔法が下手だ」
「・・・ですよね。自分でも怖くなるくらい不器用なんだよ」
ハリスが上手く風魔法を使ってくれたから良かったものの、他の人だったらと思うとゾッとする。
「これは提案なんだけど、ゼノアは魔法を隠すべきだと思う」
「・・・どうして?」
「【草操作】で今の威力になるなら、高度な魔法を使った時の破壊力は想像がつかない」
「俺も怖くて試したことがない」
実際、森の中でも出来るだけ影響が小さくなるように頭の中にある魔法で最も威力が低いものを選んでいた。
それでも、かなり森を破壊してしまったけど。
「それを制御できないと知られれば、周りから白い目で見られて、普通には暮らしていけないと思う」
「確かにハリスのいう通りかも・・・」
「それに、有名になってもいいことないからな」
「そうか・・・」
せっかくチート能力を手に入れても、周りから白い目で見られては楽しい異世界生活を送れるわけがない。
ハリスのおかげでそのことに気がつけた。後で、感謝しよう。今はまだ恥ずかしい。
「ってことで、これから当分は魔法を使うな」
「仕方ないな。でも、試験はどうするんだ?」
「僕がサポートする。ゼノアのことは近くで見てないと気が済まないから、絶対に合格させるよ。何がなんでもね」
すごく熱のこもった真っ直ぐな目で見られたので、ほんの一瞬だけ惚れるかと思った。・・・惚れなかったけど。
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