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しばらくすると、体のむず痒さがなくなったので目を開けることにした。
そこは真っ白の部屋ではなく、森の中だった。
「・・・これが、異世界」
周りを見ると、知らない花や動物が沢山あった。視界に入るすべてのものが新鮮で、異世界に転移してきたことを実感していた。
自分を見ると、以前よりは少し身長が低くなっているように感じた。
服は現代日本のものではなく、中世ヨーロッパのようなものだった。おそらくこれが、この世界でのスタンダードなのだろう。
「少し歩いてみようかな」
異世界のことを知るために森の中を少し歩いていると、目の前に1匹のスライムが現れた。
「お! 始めての魔物だ。せっかくチート能力をもらったことだし、魔法の試し打ちでもするか」
打ち方については、簡単なものなら頭に入っていたのでその魔法をスライムに撃つことにした。
「えっと・・・。火魔法【火玉】」
するとゼノアの体内から大量の魔力が指先に集まると、体長の3倍ほどある巨大な火の塊が作られた。
「こんなでかいの!?」
その火がスライムに向かって飛んでいき、ぶつかった瞬間に半径5メートルが焼け焦げた。
自分にも【火玉】の余波が来たため、服に火がついてしまった。
「やば! 水魔法【水生成】!」
服の火を消すために、自分に向けて魔法を使った。
すると、先ほど使った【火玉】と同じ大きさの水の塊が頭上に現れる。
「また、やっちゃった!」
そして、その水が一気に落ちてきてゼノアを洗い流した。
服の火は消えたが、ずぶ濡れのまま大きな水溜まりの中心に立ち尽くしていた。
「・・・不器用を直してほしかったな」
いくらチートを授かったとは言え、不器用なままの自分に少しがっかりした。
(明日の試験って何やるんだろう? 魔法の精度とか? それだと、まともに魔法使えない俺ってやばいんじゃ!)
自分が不器用すぎて、明日の試験に合格できないかもしれないという焦りが出てきた。
「少し魔法の練習をしておこう!」
それから一通りの魔法を使ってみたのだが、散々な結果となった。
風魔法を使えば自分が吹っ飛び、雷魔法を使えば自分に直撃。草魔法を使えば蔦に絡まり、闇魔法を使えば周りの植物を枯らした。
(調節できない・・・。俺だから死なずにいられるけど、周りに人がいたら使えないぞ。・・・はあ)
すでに日が沈みかけていた。魔法は全く上達しなかったが、明日が試験本番なので練習を切り上げる。
風魔法で吹っ飛んだ時に、街を見つけることができた。あれがアイシャの言っていた街だろう。
そこに学校もあるはずなので、向かうことにした。
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