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俺はただの独身サラリーマンだった。
しかし、気づいたときには俺が見たことのない部屋に閉じ込められていたのだ。
「なんだ、ここは・・・」
4畳ほどの真っ白な部屋の中には何もなく、扉や窓も無かった。
どうしてこんな場所にいるのか全くわからなかった。
「俺は確か、久しぶりに料理をしようと思って野菜を切ってたはずだけど・・・」
その後に何があったか思い出そうとしていると、部屋に優しそうな雰囲気の女性の声が聞こえた。
「はじめまして」
「!? だ、誰だ!」
「私は異界の女神をしているアイシャといいます」
「異界? 女神?」
どうやら、このアイシャという女神は地球が存在している世界とは違う場所の女神らしい。
たまたま、異界を眺めているときに俺を見つけて、観察をしていたそうだ。
「どうして俺なんか見てたんだ? 俺より面白いやつなんかいっぱいいただろ」
「何を言いますか。あなたより面白い人は見たことがありませんよ。あなたの不器用さは、とても面白いですから」
確かに俺は小さい頃から不器用だった。すぐに物を壊したり怪我をしたりしていた。
「俺からしたら何も面白く無いんだけどね。・・・それで、どうして俺はここにいるんだ?」
「あなたが死んでしまったからです」
「死んだ?」
「はい。野菜と一緒に自分の腕を切って出血死しましたよ? とても面白かったですよ!」
俺はとてつもなく不器用だ。いつか死ぬんじゃ無いと思ってたけど、本当に死ぬとは・・・。
野菜と一緒に腕まで切るなんて、自分のことだが信じられない!
自分のことにショックを受けていたら、アイシャがとんでもないことを話しはじめた。
「あなたが死んでしまっては、私の楽しみが減ってしまいます。だから、あなたを私の世界へ転移させようと思います!」
「転移!?」
転移なんて漫画やアニメの世界の話かと思っていたが、本当にあるのだと驚いた。
「転移した直後に死なないように、ちゃんと力もあげますよ」
「よっしゃ!」
アイシャの世界は魔法が使えるらしい。存在している魔法は基本属性の火魔法・風魔法・水魔法・土魔法の4つと、上位属性の雷魔法・氷魔法・草魔法の3つ、そして特殊属性の光魔法・闇魔法の2つだ。
そして、アイシャからもらえる力は次の3つ。
1.全魔法属性使用可
2.世界最大級の魔力量
3.頑丈な体
これがあれば、ちょっとのことでは死なないだろう。
「それから向こうではゼノアという名前になります。年齢も15歳になりますから、注意してください」
「分かりました」
「力も授けたことだし、準備はこのくらいでしょう。何か質問はありますか?」
「えっと、俺は異世界で何をすればいいんでしょうか」
「そうですね・・・まあ、私の世界を壊さなければ何してもいいですよ? 国を作ってもいいし、引きこもってもいい。自由にしてください」
「自由か・・・」
少し考えたが、あまりいいものは思いつかなかった。
そんな俺を見て、アイシャがアドバイスをくれた。
「じゃあ学校に通ってみてはいかがですか? そうすれば何かやりたいことも見つかるはずです」
異世界にも学校があるらしい。魔法学や地理、数学についても学ぶことができる場所だ。
「それいいな! 楽しそうだし!」
「転移させる場所から一番近い街にバルゴート魔法学校ってのがあります。だから、そこに入学するといいと思いますよ」
入学の手続きは、直接学校に行けばやってもらえるらしい。
そして転移した次の日に入学試験があるとのことで、それに合格すれば無事入学することができる。
「いろいろありがとうございました、アイシャ様」
「いいんですよ。これからのあなたの活躍を願っています」
すると自分の体が少しずつ光りはじめた。
「転移の準備ができたようですね」
「それでは行ってきます!」
「はい。是非とも私の世界を楽しんでください」
体から発される光が眩しすぎて、目を閉じた。体自体が少し作り替えられているのか、むず痒い。
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