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作者: ぬうと
掲載日:2022/07/16

 





 歪んだモノほど人は魅力を感じてしまう。

 どれだけ恐ろしくても、目を瞑りたくなっても、それは人にとって心の平安を皆殺しにするのだ。


 神秘的で遠い場所にある気がして、

 どうせ世界なんて面白くないのだと脳みそに気付かせてくれる。


 これは、とある悪魔のお話。

 名前の無い悪魔のお話である。


 ある日暗闇に向かって一心不乱に走っていると、

 いつの間にか帰るべき方向が分からなくなってしまったんだ。


 元いた場所が恋しくもあり、少し寂しくもあり、仕方なくそのまま暗闇へと向かっていった。

 その先に何があるのか興味があったからだ。


 気がつくと帰る方向すら分からなくなって、自分の声も届かない深い場所に留まっていた。


 すると闇の中から大きな顔が現れて、パクッと体ごと食べられてしまった。


 光もない、匂いもしない、音も聞こえないその場所で、悪魔は一つ願ったのだ。


「 夢が覚めたら、どうか名前を下さい。 」


 悪魔が怪物のお腹の中をしばらく彷徨っていると、ふと気がついた。


 そこは怪物のはらわたでは無い。そこは自分の心の中だったのだ。


 なんて暗い。深い。恐ろしい。

 そんな空虚な“心”の中をずっと悪魔は見て回っていた。


 そう気がつくと、一つ灯を灯そうと決めた。心の中なのだから想像するだけで灯火が現れる。


 暗闇の中に一滴の炎が誕生した。

 それは弱々しく静寂な炎で、それもまた心なのかも知れない。


 炎に照らされて、真っ暗だった視界に世界の全容が映った。

 悪魔は理解した。暗いのは心だけで、そこはしっかりとした場所だった。


 目の前に鏡が置いてあり、自分の姿が映っていた。炎の光に照らされた悪魔がそこに存在していたのだ。


 その容姿は誰もが目を背けたくなるような歪な見た目をしていた。

 まるで人とは違う恐ろしい見た目をしていた。


 そして悪魔は自分の容姿を見て誇らしく思った。

 アイデンティティを見出し、自身の恐ろしさを美として賛美した。


 なんて素晴らしい見た目だろう。


 こんなにも気持ちが高ぶったのは生まれて初めてな気がした。


 しかし悪魔はそこで目が覚めた。

 そこには、普通の家のベットで横になっていた1人の人間がいた。そう、これまでの出来事は全て夢だったのだ。


 そして人間は朝シャワーを浴びる為に洗面台へと向かった。そこで自分を鏡に映してこう言うのだった。


「 つまらない。 」


 人間はまた、いつも通りの日常へと戻っていくのだった。







最後まで読んでいただき、

誠にありがとうございました。


今後とも、

この作品を完結まで描き続ける所存であります。


もし少しでも良いと感じられましたら、ブックマークやコメントなどお待ちしております。


また、アドバイスやご指示等ございましたら、そちらも全て拝見させて頂きたく思います。

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― 新着の感想 ―
一言で言ってしまえば夢オチなのだけど、 『歪んだモノほど人は魅力を感じてしまう。 どれだけ恐ろしくても、目を瞑りたくなっても、 それは人にとって心の平安を皆殺しにするのだ。』 この、歪なものに目を…
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