君が死んだ日
友達とお題を決めて書いた作品です。
少しおかしいところがあれば、コメントで教えてくださいm(_ _)m
キキーッ!ドーン!!
嫌な音と共に宙に舞う彼女の体。
濁った赤が視界を染める。
「私の勝ち」
グシャ
彼女はそう言い放ち、地面に体を打ち付けられた。
「ーー!!!」
「ーーー!」
周りで何かを言っているが、僕は気にせず彼女に近寄った。
冷たくなっていく彼女の体に触れ、僕は彼女の手を握り口付けをした。
ああ、まただ。
また僕が彼女を殺してしまった。
そう思った瞬間、僕は彼女に負けた。
「おはよう」
目を覚ますと、優しく微笑む彼女の姿。
僕は戸惑いながらも、彼女に微笑んだ。
いつも通り時間が過ぎていき、僕はあの出来事を夢だったのだろうと錯覚してしまった。
しかし、ふと目を向けた先には信じられない光景が映っていた。
窓に映る血まみれで笑顔の僕。
地面に横たわる血まみれの彼女。
時計には、彼女が死んだ日が表示されていた。
時刻は彼女が死ぬ10分前。
ああ、あれは夢ではなかったのだ。
「顔色が悪いよ?大丈夫?」
「…うん、大丈夫だよ」
僕がそう言っても未だに心配そうな顔をする彼女。
ああ、なんて優しいのだろうか。
そんな彼女を見て、僕は決意が固まった。
僕は彼女を助ける。
彼女のことをアイシテいるから。
「そろそろ出ようか」
「うん」
今日は交際記念日で、彼女とは遊園地に行く予定だった。
一段と可愛い彼女を前に、僕はまた彼女を好きになっていく。
「それでね、」
「えへへ」
道中、コロコロと変わる彼女の表情、可愛らしい声により、僕の決意は固まっていく。
そろそろ事故があった横断歩道につく。
ああ、もうすぐだ。
赤信号になる。
さぁ、行こうか。
ハッピーエンドの道へ
車が少しずつ動き出す。
キキーッ!ドーン!!
僕は彼女を歩道へ押しやり、道路へ飛び出した。
強い衝撃と共に、僕の体は宙へ舞う。
悔しそうな顔をしている彼女へ僕は、
「僕の勝ち」
最っ高の笑顔で言い放った。
前にもこんな光景を見たことがある。
何回も何回も。
そうだ、僕達はいつまでも殺し合っている。
彼女が死んだのも、僕が死んだのもこれで終わりじゃない。
僕達はずっとこの日にいて、ずっと殺し合っている。
お互いの事が、心から嫌いだから。
二人共生きるという発想にいたらなかったのも、最期に決まって言い放つ言葉も。
全部、全部嫌いだからなんだ。
僕たちは自らを殺し、精神的に相手を殺していく。
もう、何回も繰り返しているから、これじゃ勝ち負けもよく分からない。
ただ、今回は僕が死に君が殺した。
だから、僕の勝ち。
僕は幸福に包まれながら、息を引き取った。
彼が死んだ。
最期、何を言ったのかはよく分からない。
ただ、また私が殺してしまったのだろう。
ああ、今回は負けてしまった。
ある横断歩道で、ある男性が死んだ。
車が動き出すと、男女二人共道路に飛び出し、お互いを歩道へ押し出そうとしていた。
まるで、お互いを殺し合っているようだった。
今日も、また横断歩道で二人が飛び出す。