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身体は脳の奴隷 前編

作者:竹下博志
隆二と、阿久根、富士子は、富士子を長とする特務課の刑事である。
優秀だが、思い込みが一方的で、こだわりが強く、短気な隆二。虚弱体質で、小さな時からいじめられて世渡りを憶えた、要領をかます阿久根。同じくその外見と行動で、男性社会からつまはじきにされがちな富士子。
特務課と言っても、何でも屋の窓際族で、とっくに出世コースからは外れている。彼等の仕事は、雑用が主。あとはほかの課の手伝いなどをしている。
三人のチームワークも良くはない。全員がそれぞれにマイペースで、ことに隆二と阿久根はそりが合わないのである。
名探偵のように名推理をするわけでもなく、刑事ドラマの刑事のように、執念深く犯人を追い詰めてゆくわけでもない。仕事は仕事と割り切って、そこそこのかかわりを保っている。ある意味、何処にでもいる普通の落ちこぼれ達なのだ。
そんな三人の元に、ある重要事件が舞い込んだ。
被害者は中年男性。刃物でめった刺しにされて発見され、一命はとりとめたが、その口から証言が得られる状態ではない。取り敢えず病院に赴いた特務課を翻弄するように、同じく病院に向かったという、ある宗教団体の会員である、その男性の妻が行方不明となってしまう。
犯行現場からは、証拠らしきものがなかなか出てこない中で、捜査の手掛かりはその娘である、一人で障害を抱えた娘を育てる、シングルマザーの祥子から得るようになるが、その祥子の様子も何となく普通ではない。
少し前に、過労で倒れて以来、脳に障害を負ってしまい、それまでの人格ががらりと変わってしまったのだ。
以前は良い母親、良い娘だった祥子は、今や自分の周囲の人間を以前のように愛せなくなってしまっている。そのことは、自分でもわかっているのだ。その葛藤は、祥子を徹底的に苦しめる。
祥子の娘、凜は障害を抱えた、幼稚園に通う小さな子供である。大好きなのは、母親の祥子だ。その祥子の様子が、変わってしまったことに気が付いている。そして、怖れている。
そんなある日、母親の祥子は、娘の凜を家に閉じ込めたまま、出て行ってしまった。何日も帰宅せず、次第に弱っていく凜。
特務課の落ちこぼれ達は、それぞれのやり方、それぞれの想いで、この家族に関わっていくことになる。
前編
2021/12/27 00:00
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