解凍と対面
床を突き破るようにあふれでたヴィルヘルムが凍らせた氷の塊を、爆発の魔法で一気に壊した。
ティナが言っていた冷凍食品からヒントを得たやり方だ。
氷で固まらせて置けば死体の匂いはしないし、血が滴り落ちることもない。
荷台での運搬にもおかげで問題なかった。
城に進入するのも、バリィ公爵の直筆の入ったサインのある許可証を見せれば、荷台の中を確認されることはなかった。
階下を掌握し、宴の下の階に、氷付けの死体を天井に設置すれば、宴の部屋の床を壊すだけで氷付けの死体は溢れる。
勿論、天井に氷付けの死体を設置するのに、土台もヴィルヘルムの氷で作った。
ヴィルヘルムの魔法はかなり便利だ。
ヴィルヘルムと氷を壊したり、解凍すると死体が剥き出しになり、それを操り始めた。
この日までにヴィルヘルムと何度かネクロマンサーの力の使い方を練習したが、苦労することなく死体を一気に何人も操ることが出来た。
元々魔法が使えていたからか、もしくは、やはり不死王の息子だからか……。
そして、ネクロマンサーの力を顕現するように、一斉に死体達に命令を下すように宴にいた高官どもを襲い始めた。
高官どもはパニック状態だった。その中から、ショーンを探すために見渡した。
「ショーンはどこだ!?」
周りを見渡すが、一気に氷を壊し、解凍した為か宴の部屋は霧のように白くモヤがかかってしまっていた。
白い霧のような冷気からうっすら見える上座のソファーには誰もいない。
そこで、女の悲鳴が聞こえた。
間違えるわけない。ティナだ!
「キャアァーー!? 離してー!!」
悲鳴の方に反射的に見ると、出入り口にショーンに捕まり、嫌がるティナを見つけた。
その姿を見ると、一気に血が吹き出すかのごとく身中がざわつきティナとショーンの元へ、飛び出した。
二人の前に飛びだし、思いっきりショーンのみぞおちを蹴り飛ばした。
「ぐぅぁっ……!?」
ショーンはおかしな呻き声をあげるように出して、壁に叩きつけられていた。
「大丈夫か?」
「シグルド……っ、怖かったです……!」
「……逃げ遅れたのか?」
「ショーン王子に捕まってしまって……」
ティナは、レティシアと入れ替わり縛られた時のことを思い出していたのだろうか。
震えながら、しがみつくように抱きついてきた。
目じりには、少し涙を浮かべていた。
「……っシ、シグルドっか!?」
ショーンは呻きながら、驚きを隠せなかった。
生き返ったとはいっても、生き返ってから対面するのはこれが始めてだからの驚きだろうが、変な発音で俺の名前を呼ぶな!
「ショーン。久しぶりだな。最後の宴は楽しかったか?」
「や、やめろ!?」
「何をやめるんだ? 冤罪のまま死んでいろってことか?」
「……私は王だ!」
「まだ違うだろう」
ショーンの怯えている姿にやっと復讐ができると確信した。
この怯えている姿が、ランティスの村人と重なったからだ。
「こ、殺さないでくれ……っ!?」
「……ランティスの村人もそう言っただろうよ」
何の罪もない俺の処刑をし、ランティスの村を滅ぼし、自分は贅沢を満喫する。
こんな王子はいらない。
「ショーン、地下に何を隠している? レティシアに何の仕事を頼んだ?」
「そ、それは……っ」
言いにくいのか、白状することに躊躇っているようだった。
その姿に、何故俺が白状するのを待つ必要があるのか。
そう思うと、腰のベルトに隠していた暗器用のナイフを素早く迷わずにショーンの肩に投げた。
「ギャアァーー!?」
狙い通りショーンの肩に刺さり、ショーンはまた叫んでいた。




