灰塵となった村
木に縛りつけたエンディスの兵の前に行き、腰を下ろししゃがむようにするとエンディスの兵はいつの間にか気絶していた。
村の光景に恐怖したのか俺に今からされることを予想して、耐えられなかったのか。
どちらでもいいが、魔法で出した水を頭からかけると、とりあえず起きた。
「おい、聞きたいことがある。聞かれたことだけ答えろ」
エンディスの兵は恐怖にひきつりながら上下に頭を振りながら頷いた。
「レティシアの世話をしていた女はどこに行った?」
「た、多分……家にっ……」
「家に帰ったのか?」
レティシアがティナの家を知っているとは思えない。
「誰かと一緒に帰ったのか?」
「だ、誰かと……? ……そうだ! 暗くて怖いから家まで連れて帰ってくれと、世話係の住所等管理しているやつに言っていた!? あの世話係が詰所に来たから、間違いない!」
上手いことやったな。
詰所に行けば、きっとティナの住所や記録が保管されていたはずだ。
詰所にいたやつなら高確率でティナの記録を知っているやつがいると思ってレティシアは詰所に行ったんだ。
そして、ティナのフリをしてティナの家へ行くつもりだったんだ。
ティナと入れ替わったから行く場所も泊まるところもなかったんだろう。
「あ、あの世話係はレティシア様やショーン王子の協力者ではないぞ……関係無い娘だ……だからこれ以上は知らないんだ!」
「……何の協力者だ?」
エンディスの兵は口を滑らせたと気付いたのかハッとした。
「内容は知らないっ! ……でも、以前にショーン王子はレティシア様に仕事を頼んでいた!?」
「……他には?」
「これ以上は知らない! 本当に知らないんだ! ……た、助けてっ……」
レティシアを助けに行ったつもりがレティシアはティナを身代わりにして逃げたことに不快感はある。
しかもティナが逃げられないように縛ってまで……。
たまたま俺がすぐに行かなければ、ティナはショーンに手込めにされていた。
処刑された俺が行くとは思わなかっただろうが、何故ティナを身代わりに置いて行くんだ。
どうせなら一緒に逃げてくれれば良かったのに……。
明らかに逃げる時間稼ぎの為にティナを縛り上げて行ったとしか思えない。
レティシアがそんな人間だったとは知らなかった。
気の強い聖女だが、性格は普通だったのに。
「よし! ……お前はエンディスに連れて行ってやろう」
「た、助けてくれるのか?」
「エンディスに連れ帰るのは、首だけだ」
ランティスの村人は命乞いをしたはずだ。
それを、エンディスの兵は村を殲滅しようとしたのに見逃すわけがない。
ニコリとエンディスの兵にそう言うと、また叫び出した。
そして、エンディスの兵の首を落とし、首から下は村の死体の山に放り投げた。
村を囲むように炎の魔法を放つと赤黒い炎が村を包み全てが灰塵となっていった。
この日、ランティスの村は灰塵となり、失くなった。
そして、エンディスの兵の首はエンディスの城へと持って行った。




