表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

地球が舞台の話(ローファンタジー)

気付いた事を気付かれてはならぬ

作者: ひつじかい

 学校からの帰り道、何時も通る道を歩いていると、生者にあらざる者が目に入った。

 思わず足を止める。


 死者を目にしたのは、初めてではない。

 しかし、今まで見た何よりも邪悪そうで、『見える事を気付かれたらヤバイ』と感じた。


 視線を逸らし、『見てない見てない』と心の中で唱えながら、歩みを再開する。

 恐怖心を押し殺しながら傍らを通り抜け、5メートル程歩いてホッとした時……。


『オ゛マ゛エエ゛、ミ゛エテイ゛ルナア゛?』


 欠けた顔が、私を覗き込んでそう言った。

 



「キャアアアアア!!」


 私が語り終えると、ケイが悲鳴を上げた。


「ケイってば、怖がり~」


 アイは笑う。


「想像力豊かなの!」

「はいはい」


 私、ユウを合わせた三人で、放課後の教室で怪談話をしていたのだ。


「あ。もう、こんな時間」


 時計を見れば、17時になろうとしていた。


「帰ろ」

「だね」


 私達は、鞄を持って生徒昇降口に向かった。




 学校からの帰り道、ケイコ達と別れると、生者にあらざる者が目に入った。

 思わず足を止める。


 死者を目にしたのは、初めてではない。

 これまでの経験で、『見える事を気付かれたらヤバイ』と解っている。


 視線を逸らし、『見てない見てない』と心の中で唱えながら、歩みを再開する。

 緊張しながら傍らを通り抜け、5メートル程歩いてホッとした時……。


『オ゛マ゛エエ゛、ミ゛エテイ゛ルナア゛?』


 欠けた顔が、私を覗き込んでそう言った。




 直後、悪霊は木っ端微塵に砕け散った。


 だから、気付かない振りをしていたのに。




 理由は解らないが、私が悪霊に気付いた事に向こうが気付き、それを私に気付かれると、粉微塵となってしまうのだ。

 その後、時間をかけて戻るのか・そのまま消滅するのかは、判らない。

 判らないが、流石に可哀想なので気付かぬ振りをしている。


 それなのに、どいつもこいつもちょっかいを出して来るのだ。


 気にしてもしょうがない。

 私は、悪霊を粉砕して私を守ってくれたであろう何かに感謝して、その場を立ち去った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] こわ……カコイイ! [一言] 怖くてカッコよかったです! 短くもスカッと面白かったー(*´ω`*)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ