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罪と罰 2
「お昼になったよー」「パチパチパチパチ」
彼女、楓は予鈴がなると直ぐに数人の女子たちを引き連れて俺を取り囲んだ。
「はい、これパン代」
「よろしく~」
「いつもありがとう~」
俺はいつも彼女らからお金を受け取って購買部にパンを買いに行く。各々が掌に小銭を乗せパンの種類のリクエストをしてくる。今日も又、手を強引に丸め込ませ教室から追い出された。
購買部に着いて、手を開くとお粗末な十円玉が6枚と一円玉が10枚しか入っていなかった。足りない分は自分の財布を削るしかない。
教室に帰ると僕の腕からパンがあっという間に無くなって、用済みといって教室の隅に追いやられた。
自席に座って本を開こうとすると、ガタッと前から音がした。
頭を上げると、背が高く健康的な肌をもった女子、楓がこちらを向いてニヤニヤしながら真正面に座っていた。