第三研究所研究日誌 2/3
☆月○日
やっと研究がひと段落ついたので一月ぶりに日誌を更新できる。
一月の時間をかけてついに完成した1つの素体に2つの精霊を入れる二重憑依式魔物は強化種と名付けられた。
この強化種の研究は困難を極めた。
私の予想通り精霊を2つの降ろすという事自体は実に簡単だった。
だが実際にやって見ると、2つの精霊の力に素体が耐えきれず、肉体ごと崩壊するというケースが相次いだ。
精霊が2つというのはただの生物が得る力としては強すぎたのだ。
生物素体、無機物素体の両方を試したが、結果は同じ。
それから数々の実験がなされた。
あらゆる素体を試し、精霊を降ろす魔法陣を改良し、魔法で素体自体を強化するなどしたが、殆どが無意味。同様に拒絶反応を起こし崩壊した。
しかしその中で唯一効果があったのが、禁術ともいわれる死霊術だ。
精霊を降ろす魔法陣にも技術が応用されているこの魔法は死者を操ることができる。
これを使って生物素体に死霊を降ろし、素体の魂そのものを強化した。
するとなんとその素体は精霊を2つ降ろされても崩壊せず、魔物となったのだ。
その力は私が予想した通り今までとは比べものにならないほどだった。
だが、このプロトタイプは1つ大きな弱点があった。
巨大な力は持つものの、その力を発揮できる時間はせいぜいが3分ないか程度だったのだ。
限界時間をこえて無理に戦わせたら、血を吐いて死んでしまった。
どれだけ強力だとしてもたった3分しか戦えないならされは兵器として不完全だ。
そうして私達は今度は戦闘活動時間を増やす方法を模索しだした。
そして判明したのは、素体に降ろす死霊をより素体と相性がいいものを使う、つまり血の繋がったものの魂を使うことでその活動時間は格段に増えるということだった。
そうしてようやく今日完成したのが、第壱世代強化種だ。
第壱世代強化種は第7世代と同じ猿の素体を使っているのにもかかわらず、身体は小柄な第7世代とは真逆の筋骨隆々とした巨躯であり、その戦闘力は第2世代の3倍以上を記録した。
前回の定期報告では強化種の開発が間に間に合わなかった為に結果が振らなかったが、次回は大臣殿の度肝を抜けるだろう。
☆月△日
先月入ってきた新入りが非常に面白い発想をしていた。
「人類に擬似精霊憑き加工をして魔物にしたらどうなるのか?」
本当に、興味深い。