転生の神(代理)
転生の間に来てからもうすぐ一ヶ月になる。
私が転生の神の代理をすることになったのは、ここに来てから一週間後、つまりは決断の日のことだ。
その日は、真剣な面持ちのスライムからの呼び出しがあり、転生の間で話をしていた。
「ですから、私は何がなんでも転生はしません!」
「転生は絶対しなければなりません!何度も説明した通り、魂のバランスを保つためには、あなたの転生が必要不可欠です!」
お互いに譲らず、結構な時間がたっていた。
タイムリミットが近付いてきた時、私はふと思い浮かんだ案を出した。
「私の代わりに、あなたが魂のバランスとやらを保ちに行ってください」
私を飲み込もうかという勢いに広がっていたスライムは、元の楕円形に戻った。
「分かりました。私もこの世界を旅したいと思っていました。私が代わりに転生しましょう。ただし、その間の転生の儀はあなたが行ってください」
「分かりました。転生するよりも、ここで転生の管理をしていた方がましです」
一週間でかなりの数の転生者を見てきた。その限りでは、簡単そうな仕事だと感じていた。
「私は100歳まで生きるつもりですから、頑張ってください」
その言葉で重要なことに気が付いた。
「あっちでの100年って、こっちだと何年ですか?」
「あちらの一日はこちらの三日です。つまり、100年は300年になります。では、一時的に私の力と権限をあなたに渡します」
転生の間の床が光りだし、300年間の神としての生活が決定したのだった。