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思索

「私をあなたの奴隷にしてください」

(・・・・・・)

 そこでライアーの時間は外界の時間に置いて行かれた。

 ハッカーという職業はどれだけ必要なデータを相手に知覚し、対策をされる前に入手するかが唯一にして最重要事項である。それには想定外のセキュリティにも狼狽えずに対処できるだけの冷静さと知識が求められる。

(どういう事だ?今の外の世界では女性は初対面の男性に対して挨拶より先に奴隷扱いを要求するのが一般的なのか?)

 当然ながらライアーは驚きこそすれ、冷静さを失ってはいなかった。

 残り半分しか残っていない紅茶を一口、ストローから吸い上げ、咳払いの代わりに喉に流し込む。

「ここでは人目に付く。話はここを出てからだ」

 プロの探偵か暗殺者ならともかく、この程度の目線なら誰でも気付けるだろう。

 カウンターの奥からこちらの様子を飢えた肉食獣の様にこちらを伺っている三対の輝く眼球が何とも居心地が悪く感じさせる。

『店長、なんかものすごい美人さんが座りましたよ?』

『何かすごい事を口走っていたような......』

『しかも相手がイケメンだというオマケ付き......くっ、爆発してしまえ!』

 かなり小声で言っている様だが、ライアーの耳に付けているワイヤレスイヤホンに見せかけた高性能集音装置から丸聞こえである。

「嫉妬。他者が自分より優れた物を持つ場合否応なしに抱く感情」

「耳いいね」

 まるでたった今辞書から引き出したかのように目前の美女は店長の感情を分析し、結果を口にした。

 それに対し、ライアーは相も変わらず素っ気ない態度を取り、自身の中で暴れまわる感情を押し隠す。

(爆発しろ?外の世界は相変わらずいまいち理解できないな。店の中で爆発して臓物撒き散らしたら、この店は衛生問題に問われ、客足が減り、結果的にそちらが損なのではないのか?)

 やはり一般的な人間の心理は非合理的な部分が多過ぎて、複雑で分析し辛いという意味を込めて、ライアーは小さなため息をついて軽く肩をすくめた。

「?」

 ハッと気が付くと、目の前の美女は興味深そうにこちらの顔を覗き込んでいた。

 それもそのはず。先程ライアーが美女に会った時から表情が驚いたと思えば、興味無さげに紅茶を飲んだり、店内スタッフの会話を聞いたと思うと何かを思索し始め、思索の末にため息をし、肩をすくめ、今は出会った時とは違う意味合いの驚きの表情を顔に張り付けている。

 出会って短時間とはいえ、ろくな会話もせずここまで表情が変わるのは珍しいのか、美女は瞬きも忘れ、ライアーの顔を覗き込んでいた。

『もうっ!女の子を放って置いて自分の世界に閉じ籠って考え事何てどういう神経していればそうなるの!』

 この状況にどこかであったかのような奇妙なデジャヴ感を覚え、その一拍後に、ライアーの脳裏にそのセリフはフラッシュバックした。

 不意とまたさっき捨てたはずの可能性が息を吹き返す。

 とある一連の事件から、ライアーは神の存在を一切信じなくなり、世界に触れる事自体を拒む様になったのだが、この時ばかりは神のイタズラなのかと疑念を抱かずにはいられなくなった。

 今日した事と言えば、家を出て、デパートで暫く時間を潰し、喫茶店で一杯の紅茶を飲んだだけのはずだが、なぜこの数年間セメントで固められた様に平坦なまま変動しなかった感情がこの短時間でここまで忙しく動き出したのだろうか?ライアーはとてもそう考えずにはいられない心境に陥り、本日何度目になるか分からないため息を吐き出した。

どんなに書いてもボツの繰り返しで、千文字書くのに何ヵ月も掛かった...

本格的にスランプに陥りました...過去のネタ帳でも読んで頑張って脱出します...

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