ヒーローのボスの気苦労
ここは、「正義味方連合総本部」。
中央ロビーは、お昼時だった。
そこに、鳥怪人型の人物が、ピンクの女怪人の秘書と、少女コミックを手にした猫男の助手をひきつれて現れる。
「トリノ会長。
ご注文は、いかが致します?」
ロビーに併設された、カフェの店員が、注文を聞きに来た。
「そうだな・・・
コーヒーをいただこう。」
「私、紅茶とドーナツ!!」
「僕、エスプレッソ!!」
ロビーは、多くのヒーローでごった返していた。
正面には、筋トレをしている、汗臭いムキムキの連中・・・
右には、「信比枯!」と、頭を抱える、悩める青年が・・・
「しかし・・
トリノ様・・・
変な奴らばっかですね・・・」
「仕方なかろう・・・
ラッキーロ。
これでも、正義の心を持った連中だ。」
そんなもんですかね、とラッキーロは、少女コミックを読みながら、エスプレッソを口にする。
「にがーい!
もう一杯。」
青汁か!?
「でも・・・
一芸極めればなんとやらっていうじゃない?」
「行き過ぎですよ、シャンデリラ様・・・」
そんなとき、トリノは二つの戦隊が会議をしているのを見た。
「殿!!
こんな奴ら、召し抱えても役に立たねえよ!」
「そうよ!
殿様!!
ウチは、由緒正しい「妖滅家」よ!」
「野武士じゃなあ・・・」
「あれは、侍戦隊ブケンジャーと、野武士戦隊ノブシンジャーか・・・」
「うっわ!
ノブシンジャーって、仕官も祿もないの!?
悲惨!」
ラッキーロが、絶句する。
「もっと、給料をあげるか?」
トリノが、頭を抱える。
「そんなことしなくていいわよ、トリノ様!」
「そうですよ。」
トリノは、呟いた。
「正義の味方」をまとめるのも、ままならんな・・・」